生成AIパスポートのシラバスは、2027年2月試験から大幅に変わります。 GUGA が 2026年10月1日に発表しました。2026年10月試験(10月1日〜31日)までは現行の 2026年シラバス、2027年2月試験(申込 10月1日〜2027年1月31日)からは新シラバスで出題されます。
変わるのは用語の追加だけではなく、章の名前と並びそのものです。第3章が「AIエージェント」に、第4章が「生成AIのリスク予防・AI倫理・ガバナンス」になり、中項目は 24 から 29 に増えます。公式テキストも発行元が GUGA から翔泳社に変わり、11月24日に書店に並びます。
この記事では、新旧のシラバスを章ごとに対照し、何が増えて何が減ったか、どちらの回を受けるべきか、テキストを買うときに間違えないための注意点をまとめます。
当サイトの参考書と400問の問題集は現時点で 2026年シラバス(10月試験まで)に対応しています。2027年版は新公式テキストの発売後に作り直し、12月中に公開する予定です。
いつから変わるのか
| 試験回 | 受験期間 | 申込期間 | 適用シラバス |
|---|---|---|---|
| 2026年10月試験 | 10月1日〜31日 | 2026年8月1日〜9月30日(受付終了) | 旧(2026年シラバス、公式テキスト第4版) |
| 2027年2月試験 | 2027年2月1日〜28日 | 2026年10月1日〜2027年1月31日 | 新(2027年シラバス) |
| 2027年4月試験以降 | 各偶数月 | 前回試験月の1日〜前月末 | 新 |
区切りはこの一度だけで、2027年2月以降はすべて新シラバスです。「新旧どちらでも受けられる移行期間」はありません。
なお、すでに合格している人の資格は無期限のまま有効です。改訂内容を学び直したい有資格者向けに「資格更新テスト」(eラーニング3時間+10問、6,600円、学生 3,300円)が 2027年2月から別途始まりますが、受けなくても資格が失効することはありません。更新テストの中身と受けるべき人は資格更新テストの記事にまとめています。
章構成の新旧対照表
| 章 | 旧(〜2026年10月試験) | 新(2027年2月試験〜) | 新の中項目 |
|---|---|---|---|
| 1 | AI(人工知能) | AIの基礎と歴史 | AIの基本的な仕組み/機械学習/ニューラルネットワーク/AIの歴史 |
| 2 | 生成AI(ジェネレーティブAI) | 生成AI | Transformer 以降の技術革新/学習プロセス/生成(推論)プロセス/LLMの基礎/ChatGPTと主要モデルの動向/各モダリティの生成AI |
| 3 | 現在の生成AIの動向 | AIエージェント | AIエージェントとは/RAG/仕組み/MCP・Agent Skills と外部連携/ツールと活用事例/リスク・安全性・評価 |
| 4 | 情報リテラシー・基本理念とAI社会原則 | 生成AIのリスク予防・AI倫理・ガバナンス | 基本マインドセット/代表的リスク/シャドーAIと企業コンプライアンス/AI出力の評価と検証/個人情報・プライバシー・秘密保持/著作権・知財・生成物の権利/AI倫理とAI事業者ガイドライン/AIガバナンスと社内ガイドライン/AI法・国際ルール・AI安全保障 |
| 5 | テキスト生成AIのプロンプト制作と実例 | 生成AIの実践と活用事例 | プロンプトエンジニアリング/文書作成/企画・マーケティング/クリエイティブ制作/データ分析・リサーチ/開発・業務自動化/業種別の活用 |
第1章と第2章は名前こそ変わりますが、内容の大半は現行シラバスから引き継がれます。大きく変わるのは第3章・第4章・第5章です。
章ごとに何が増えるか
GUGA は改訂のポイントを「AIエージェントの拡充」「リスク予防・倫理・ガバナンスの大幅拡充」「業務別・業種別の活用と出力の検証」の3つと説明しています。新シラバス(公開 PDF、10ページ)と公式テキストの目次から、章ごとに追加される項目を拾うと次のようになります。
第1章 AIの基礎と歴史
現行の第1章をほぼ引き継いだうえで、機械学習の種類が細かくなります。
- 強化学習(報酬・価値・方策)、半教師あり学習、ノーフリーランチ定理
- 転移学習、LSTM、VAE、GAN、「識別系AIと生成系AIの違い」
- AI の歴史は従来どおり(ダートマス会議から第三次ブーム、シンギュラリティまで)
第2章 生成AI
現行の第2章・第3章の技術部分を「学習」「生成(推論)」の流れで組み直しています。
- 学習プロセス: 事前学習→ファインチューニング→RLHF の3段階、学習データの規模と課題、スケーリング則
- 生成プロセス: トークン化、埋め込み、次トークン予測、ハルシネーション、Temperature・Top-p、コンテキストウィンドウ
- LLM の基礎: オンプレミス/オープンソース LLM(オープンウェイト、データ主権)
- 主要モデルの動向: GPT-4 以降の進化、推論モデル(Chain-of-Thought、推論時の計算)、Operator・Codex、Gemini・Claude・Copilot
- 各モダリティ: 画像・音楽・音声・動画の生成AI。電子透かし・C2PA、Voice Cloning と本人の同意
第3章 AIエージェント(新設)
RAG 以外はほぼ新規の章です。用語の数がもっとも増えるのはここです。
- AIエージェントとは: 従来の生成AIとの違い、ワークフロー型と自律型、自律性のレベル、Human-in-the-Loop
- RAG: セマンティック検索、リランキング、ハイブリッド検索、チャンク分割、Advanced/Agentic/Graph RAG
- 仕組み: タスク分解と計画、Function Calling/Tool Use、短期メモリと長期メモリ、コンテキストエンジニアリング、推論と行動のループ
- 外部連携: MCP、A2A、Agent Skills、マルチエージェント
- ツールと事例: コーディングエージェント、ハーネスエンジニアリング、ブラウザ操作・PC操作、ディープリサーチ
- リスク・安全性・評価: 権限の過剰付与と最小権限の原則、連鎖的なエラー、プロンプトインジェクション、サンドボックス、ガードレール、多層防御、Eval(評価)
第4章 生成AIのリスク予防・AI倫理・ガバナンス
中項目が 9 つあり、5 章の中でいちばん大きい章になります。現行第4章の法律分野(個人情報保護法・著作権・AI事業者ガイドライン・AI新法)はそのまま残り、そこに「組織でどう使うか」の視点が加わります。
- 基本マインドセット: AIは補助者で最終責任は人間、鵜呑みにしてはいけない理由、AIを使わないリスク
- 代表的リスク: ハルシネーションから情報漏えい、ディープフェイク、フィッシングへの悪用まで 11 項目に整理。現行シラバスにあった攻撃手法の細かい分類(スミッシング、ヴィッシングなど)はこの中の 1 項目に縮小
- シャドーAIと企業コンプライアンス(新設): 承認されていないAIツールを業務で使う危険性、会社と従業員の役割
- AI出力の評価と検証(新設): 用途と影響度に応じた検証レベル、ファクトチェックと妥当性レビュー、採用・修正・破棄の判断
- 個人情報・プライバシー・秘密保持: 現行の内容に加え、秘密保持契約・営業秘密、「加工すれば入力できるのか」、漏えい時の対応
- 著作権・知財・生成物の権利: 著作者人格権、引用・転載・要約・翻案の違い、OSS ライセンス、利用規約と商用利用前の確認
- AI倫理とAI事業者ガイドライン: ELSI、エコーチェンバー・フィルターバブル、デジタルタトゥー
- AIガバナンスと社内ガイドライン(新設): ツール選定の確認項目、ツールのレベル分けと入力ルール、申請と承認フロー、API キー・レート制限・利用ログ、ISMS・SOC 2・SSO・多要素認証、コスト管理
- AI法・国際ルール・AI安全保障: AI法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律)とAI基本計画、G7広島AIプロセス、EU AI Act とリスクベース・アプローチ、AIと安全保障、国産AI・国内基盤モデル
第5章 生成AIの実践と活用事例
現行第5章のプロンプト制作は「プロンプトエンジニアリング」として残り、そのあとに業務別・業種別の活用が並びます。
- プロンプトエンジニアリング: 基本構成要素、Zero-Shot/Few-Shot、Chain-of-Thought、役割設定・出力形式、具体度のコントロール
- 業務別: 文書作成・コミュニケーション/企画・マーケティング/クリエイティブ制作/データ分析・リサーチ/開発・業務自動化の 5 分野。議事録、翻訳、スライド、LP、モックアップ、リファクタリング、コードレビュー、ブラウザ操作の自動化など
- 業種別: 規制・機密性が重視される業種/現場・ものづくりを支える業種/顧客接点・コンテンツ制作の業種
減るもの・なくなるもの
- 現行第4章の「インターネットリテラシー」と、フィッシング・スミッシング・ヴィッシングといった攻撃名の列挙は中項目としては消え、「代表的リスク」の 1 項目に吸収されます。
- 現行第4章の「AI社会の基本理念(人間の尊厳、多様性、持続可能性)」は独立した中項目ではなくなり、「AI倫理とAI事業者ガイドライン」の中で扱われます。
- 現行第3章「現在の生成AIの動向」にあった生成物の種類やディープフェイクの話は、第2章「各モダリティ」と第4章「代表的リスク」に分かれます。
- 現行第5章の「生成AIの不得意なこと」「ビジネス応用」は、第4章のマインドセットと第5章の業務別活用に分散します。
「減る」といっても出題されなくなるわけではなく、置き場所が変わるだけのものが多い点に注意してください。
10月試験と2月試験、どちらを受けるべきか
すでに 10月試験に申し込んでいる人は、そのまま現行のテキストで受けてください。10月試験の出題範囲は変わりません。
これから申し込む人は、次の 2 択です。
- 2027年2月試験(新シラバス)を受ける: 新しい公式テキストは 11月24日発売なので、12月から本格的に勉強を始めて 2月に受けるスケジュールになります。AIエージェントやガバナンスの内容は実務でそのまま使える知識なので、急いでいないならこちらを勧めます。
- 現行シラバスの教材で学んだ内容を活かしたい: 10月試験の申込はすでに締め切られているため、現行シラバスで受けられる回はもうありません。手元の教材が 2026年版なら、第1章・第2章・第4章の法律分野は 2月試験でも使えますが、第3章と第4章の新設部分、第5章の業務別活用は追加で学ぶ必要があります。
申込は GUGA の受験申込ページから。申込の手順と注意点は申込ガイドにまとめています。
新しい公式テキストの買い方と注意点
| 現行版(10月試験まで) | 改訂版(2月試験から) | |
|---|---|---|
| 書名 | 生成AIパスポート公式テキスト 第4版 | AXリテラシー教科書 生成AIパスポート 公式テキスト 2027年試験シラバス対応 |
| 発行 | GUGA | 翔泳社(執筆は引き続き GUGA) |
| 価格(税込) | 製本 1,980円/電子 1,782円 | 製本 2,090円/電子 2,090円 |
| 仕様 | — | A5判・296ページ、章末に練習問題 |
| 入手先 | 製本は GUGA 公式ショップのみ | 全国の書店、Amazon、楽天ブックス、翔泳社の販売サイト |
| 発売 | 発売中 | 2026年11月24日(予約受付中) |
| 受験申込時のセット購入 | 製本版のみ可 | 不可(別途購入) |
注意点は 3 つです。
- 現行版から改訂版への交換・返品はできません。 GUGA が明記しています。2月試験を受けるつもりで第4版を買わないでください。
- 受験申込と同時のセット購入はなくなります。 改訂版は翔泳社の商業出版なので、申込ページからは買えません。書店か Amazon で別に注文します。
- 練習問題が付きます。 現行の第4版には演習問題がありませんでしたが、改訂版は章末に練習問題が入ります。それでも本番 60問の形式に慣れるには量が足りないので、問題集との併用は引き続き必要です。
PDF 版が欲しい人は、翔泳社の直販サイト(SEshop)で紙と PDF のセットが同じ 2,090円で買えます。Kindle 版は DRM 付きで検索や抜き出しがしにくいので、電子で読むなら PDF の方が使いやすいです。
当サイトの対応予定
- 現行の参考書 31節と400問は、10月試験が終わる 10月31日まではそのまま 2026年シラバス版として残します。
- 11月24日の公式テキスト発売後に章立てを確認し、12月中旬までに 2027年シラバス版の参考書と問題を公開する予定です。新設される第3章(AIエージェント)と第4章の「シャドーAI」「出力の評価と検証」「AIガバナンス」を中心に問題を追加します。
- 現行の 31 節のうち 20 節前後は改題して引き継ぎ、10〜12 節を新しく書きます。
- 勉強法の記事と参考書の比較記事も、2027年版の教材が出そろい次第更新します。
まとめ
- 2026年10月試験までは旧、2027年2月試験から新シラバス。移行期間はない
- 章の名前と並びが変わり、第3章が「AIエージェント」、第4章が「リスク予防・AI倫理・ガバナンス」に。中項目は 24 → 29
- 増えるのは AIエージェント(MCP・A2A・コンテキストエンジニアリング・プロンプトインジェクション)、シャドーAI、出力の検証、AIガバナンス、業務別の活用
- 公式テキストは翔泳社から 11月24日発売、2,090円。現行版との交換は不可、申込時のセット購入も不可
参考
- GUGA 生成AIパスポート、2027年試験のシラバスを大幅改訂(2026年10月1日)
- GUGA 生成AIパスポート公式テキストの発行元変更に関するお知らせ
- GUGA 生成AIパスポート試験 シラバス(PDF)
- 翔泳社 プレスリリース(PR TIMES)
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