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プロンプティングの実践:校正、要約、形式変換、対象・話者の変更、例え話

第5章 テキスト生成AIのプロンプト制作と実例 / 節 3

シラバスのキーワード: 文章の校正、校正箇所の確認文章の整理文章の要約箇条書きを文章に変換、文章を箇条書きに変換文章の対象を変更する話者の設定を変更する文章を会話のやり取りへ変換例え話で理解を深める数字の変換

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テキスト生成AIが得意な作業

テキスト生成AIは、文章の形式や表現を変える作業を得意とします。シラバスでは次の技法が挙げられています。

技法 内容 指示のポイント
校正 誤字脱字や不自然な表現を修正する 修正箇所と理由を一覧で出力させると、意図しない変更を確認できる
整理・要約 長い文章を短くまとめる 誰向けか、どの観点で、どの長さで、を指定する
箇条書き↔文章の変換 メモを文章に整える、文章を箇条書きにする 変換後の用途(報告書、スライドなど)を伝える
対象の変更 専門家向けの説明を初心者向けに書き換える 対象読者を明示し、専門用語の扱いを指示する
話者の設定変更 口調や立場を変える 「先輩が新人に説明する口調で」など
会話への変換 説明文を会話形式にする 登場人物と役割を指定する
例え話 身近な例えで理解を助ける 読者が知っている領域の例えを指定する
数字の変換 単位や表記を揃える 「円を千円単位に」など具体的に。結果は人間が検算する

良い指示と悪い指示の例

校正: 「誤字脱字と不自然な表現を修正し、修正した箇所と理由を一覧で示してください」が適切です。「良い感じにして」では基準が曖昧で、全文を書き直させると文体や意図が変わります。

要約: 「以下の議事録を、役員向けに、決定事項・未決事項・次のアクションの3項目に分けて、各項目3行以内で要約してください」のように、読者・観点・長さを指定します。「要約して」だけでは観点も長さも定まりません。

対象の変更: RAG の技術文書を営業担当者に理解してもらうなら、「IT に詳しくない営業担当者向けに、身近な例え話を使って、専門用語を使わずに説明してください」と指示します。

形式と数値の変換: 「以下の説明文を新人と先輩の会話形式に書き換えてください。金額はすべて千円単位に変換し、内容は変えないでください」のように、変換の内容と「変えないこと」の制約を両方伝えます。

確認のポイント

試験で問われる観点

この節の練習問題(10問)

答えを見る前に選んでから開いてください。同じ問題は章別演習でランダム出題されます。

  1. 問1
    生成AIに文章の校正を依頼する際、後で修正内容を確認しやすくするための指示として最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1「誤字脱字と不自然な表現を修正し、修正した箇所と理由を一覧で示してください」と指示する
    2. 2「文章全体をより読みやすく、自然な表現に書き直してください」と指示する
    3. 3「誤字脱字と不自然な表現を修正し、修正後の文章だけを出力してください」と指示する
    4. 4「文章の内容を要約し、伝えたいポイントを3つに絞って提示してください」と指示する
    答えと解説

    正解: 1

    校正では、修正箇所とその理由を一覧で出力させると、意図しない変更が入っていないかを人間が確認できます。「良い感じに」では基準が曖昧で、元の文章を捨てると比較できません。全文を書き直させるのは校正ではなく、文体や意図が変わるリスクがあります。

  2. 問2
    10ページの会議の議事録を、役員向けに短く要約させたい。プロンプトとして最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1「以下の議事録を、発言者ごとの発言を省略せずに時系列で書き起こし、背景説明を加えて10倍の分量に膨らませてください」
    2. 2「以下の議事録を、役員向けに、決定事項・未決事項・次のアクションの3項目に分けて、各項目3行以内で要約してください」
    3. 3「以下の議事録を要約してください。分量や項目の指定は特にないので、役員が読みやすいようにお任せします」
    4. 4「以下の議事録を読んで、会議の雰囲気や参加者の態度について感じたことを、あなた自身の感想として自由に書いてください」
    答えと解説

    正解: 2

    要約では、誰向けか(役員)、どの観点で(決定事項・未決事項・アクション)、どの長さで(各3行以内)を指定すると、目的に合った出力が得られます。「要約して」だけでは観点も長さも定まらず、感想を書かせたり文章を膨らませたりするのは要約の目的に反します。

  3. 問3
    テキスト生成AIの基本的な活用例として、最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1取引先に電話をかけて価格を交渉したり、会議に出席して口頭で説明したり、担当者と対面で契約内容を詰めたりする
    2. 2紙の書類を封筒に入れて郵送したり、届いた郵便物を部署ごとに仕分けしたり、原本を倉庫に保管したりする
    3. 3箇条書きのメモを文章に整えたり、逆に長い文章を箇条書きに変換したり、専門的な説明を初心者向けに書き換えたりする
    4. 4パソコンの部品を交換して故障を直したり、社内ネットワークの配線を敷設したり、サーバーの電源を点検したりする
    答えと解説

    正解: 3

    テキスト生成AIは、箇条書きと文章の相互変換、対象読者に合わせた書き換え(専門家向けから初心者向けへ)、話者や口調の変更、会話形式への変換、例え話による説明など、文章の形式や表現を変える作業を得意とします。電話や対面での交渉、郵送や書類の保管、部品の交換やネットワークの配線といった物理的な作業や対人のやり取りは、テキスト生成AIの機能ではありません。

  4. 問4
    技術文書の「RAG」の説明を、ITに詳しくない営業担当者に理解してもらいたい。プロンプトの工夫として最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1「ITに詳しい技術者向けに、専門用語をできるだけ多く使って、正確で網羅的に説明してください」と指示する
    2. 2「技術文書の原文を一字一句変えずに、専門用語の定義を追加してより詳しく説明してください」と指示する
    3. 3「英語の原論文と関連する技術資料を紹介し、営業担当者が自分で読んで理解できるようにしてください」と指示する
    4. 4「ITに詳しくない営業担当者向けに、身近な例え話を使って、専門用語を使わずに説明してください」と指示する
    答えと解説

    正解: 4

    対象読者を明示し、例え話の利用と専門用語の回避を指示すると、AIは読者に合わせた説明を生成します。「図書館で司書に関連する本を探してもらってから答える仕組み」のような例えは理解を助けます。専門用語を増やす、原文をそのまま渡す、英語論文を紹介するのは、対象読者に合わせるという目的に反します。

  5. 問5
    社内研修の資料として、規程の説明文を「新人と先輩の会話形式」に書き換え、金額はすべて「円」から「千円」単位に直したい。生成AIへの指示として最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1「以下の説明文を新人と先輩の会話形式に書き換えてください。金額はすべて千円単位に変換し、内容は変えないでください」
    2. 2「以下の説明文を先輩から新人への一方的な説明文に書き換えてください。金額はすべて円単位のまま残し、内容は自由に変えて構いません」
    3. 3「以下の説明文を面白く読みやすい文章に書き換えてください。金額は千円単位ではなく万円単位に変換し、内容は適宜補ってください」
    4. 4「以下の説明文を新人と先輩の会話形式に書き換えてください。金額はすべて削除し、規程の内容は分かりやすく要約してください」
    答えと解説

    正解: 1

    形式の変換(会話形式)と数値の変換(千円単位)を具体的に指示し、「内容は変えない」と制約を加えることで、意図どおりの書き換えが得られます。「会話にして」だけでは登場人物や数値の扱いが不明で、「面白くして」は内容が変わる恐れがあり、「金額を消して」は目的と異なります。数値変換は後で人間が確認することも重要です。

  6. 問6
    自分が書いた報告書を生成AIに校正させたい。文体や意図を変えずに誤りだけを直すための指示として最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1「あなたの判断で全文を自由に書き直し、より良い報告書に仕上げてください」
    2. 2「誤りがあれば直してください。修正した箇所や理由の説明は一切不要です」
    3. 3「誤字脱字と不自然な表現を修正し、修正した箇所と理由を一覧で示してください」
    4. 4「全体的に良い感じに書き直して、誰が読んでも読みやすい報告書にしてください」
    答えと解説

    正解: 3

    校正では、修正箇所と理由を一覧で出力させると、意図しない変更がないかを確認できます。「良い感じに」は基準が曖昧で、全文を書き直させると文体や意図が変わります。修正箇所の説明を省くと、何が変わったか確認できません。

  7. 問7
    2時間の会議の議事録を役員に報告するために要約させたい。最も適切なプロンプトを1つ選びなさい。
    1. 1「以下の議事録を要約してください。読む相手や観点の指定は特にありません」
    2. 2「以下の議事録を短くしてください。長さや観点はAIの判断にお任せします」
    3. 3「以下の議事録を、できるだけ詳しく、内容を一切省略せずにまとめてください」
    4. 4「役員向けに、決定事項・未決事項・次のアクションの3項目で、各3行以内に要約して」
    答えと解説

    正解: 4

    要約では、誰向けか、どの観点で、どの長さで、を指定します。「要約して」や「お任せ」では観点も長さも定まらず、「省略せずに」は要約の目的に反します。

  8. 問8
    RAGの技術文書を、ITに詳しくない営業担当者に理解してもらうための指示として最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1「ITに詳しくない営業担当者向けに、身近な例え話を使って、専門用語を使わずに説明して」
    2. 2「技術文書の内容をそのまま正確に、専門用語を一つも省略せずに丁寧に説明してください」
    3. 3「営業担当者向けに書き換えてください。専門用語の扱いはすべてAIの判断にお任せします」
    4. 4「この技術文書を英語に翻訳して、海外拠点の営業担当者にも読めるようにしてください」
    答えと解説

    正解: 1

    対象の変更では、対象読者を明示し、専門用語の扱いを指示します。身近な例え話を指定すると理解を助けられます。専門用語を省略しない説明や、用語の扱いを任せる指示では、ITに詳しくない読者向けになりません。翻訳は目的と関係ありません。

  9. 問9
    生成AIに文章中の金額を千円単位に変換させるときの注意点として、不適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1変換後に元の文章と照らして、内容が変わっていないか確認する
    2. 2AIの数値の変換は常に正確なので、検算せずにそのまま使ってよい
    3. 3「金額はすべて千円単位に変換し、内容は変えないでください」のように変換の内容と制約を伝える
    4. 4数値の変換はAIが誤ることがあるため、結果を人間が検算する
    答えと解説

    正解: 2

    数字の変換では、変換の内容と「変えないこと」の制約を伝え、結果は人間が検算し、内容が変わっていないか元の文章と照らします。AIの数値の変換は誤ることがあるため、「常に正確なので検算不要」という記述は不適切です。

  10. 問10
    社内の説明文を、新人と先輩の会話形式の研修資料に書き換えたい。最も適切なプロンプトを1つ選びなさい。
    1. 1「以下の説明文を箇条書きにして、研修資料としてそのまま配れる形にしてください」
    2. 2「以下の説明文を、登場人物は指定しないので自由に発想して物語にしてください」
    3. 3「以下の説明文を新人と先輩の会話形式に書き換えてください。内容は変えないでください」
    4. 4「以下の説明文を面白くして、研修で楽しく読める読み物に仕上げてください」
    答えと解説

    正解: 3

    会話への変換では、登場人物と役割を指定し、内容を変えないという制約を伝えます。「面白く」は基準が曖昧で、箇条書きは会話形式ではなく、登場人物を指定しない自由な物語化は研修資料の目的から外れます。