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AI生成物の権利:著作物性、事実確認、既存の権利を侵害する可能性

第4章 情報リテラシー・基本理念とAI社会原則 / 節 7

シラバスのキーワード: AI生成物に関する権利AI生成物に関する事実確認AI生成物が既存の権利を侵害する可能性AI生成物の著作権の所在生成物

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AI生成物の著作権はどうなるか

日本の著作権法では、著作者は人間に限られ、AI 自体は著作者になれません。AI 生成物が著作物として保護されるかどうかは、生成の過程に人間の創作意図と創作的寄与が認められるかで個別に判断されます。文化庁の「AIと著作権に関する考え方」は、判断の要素として次を挙げています。

「猫のイラスト」とだけ入力して出力された画像は、創作的寄与が乏しく著作物と認められない可能性が高い一方、構図・色・雰囲気を細かく指示し、数十回生成して選び、自分で加筆修正したものは、著作物となる可能性があります。AI 生成物が自動的に開発企業や利用者の著作物になることも、すべてが保護されることもありません。

公開前の事実確認

生成AIにはハルシネーションがあり、架空の判例や統計、誤った人物情報を出力することがあります。確認せずに公開すれば、誤情報の拡散、名誉毀損、顧客への誤案内につながり、利用者や企業が責任を負います。競合企業について「過去に行政処分を受けた」と出力された場合、行政機関の公表資料など一次情報で確認し、確認できなければ記載しないのが適切です。「AI によると」という注記は責任を免れる理由になりません。

なお、事実確認によって著作権が発生するわけではなく、生成AIの利用者に事実確認を義務付けて罰金を科す法律もありません(AI 事業者ガイドラインは法的拘束力のない指針です)。

既存の権利を侵害する可能性

AI 生成物は学習データに含まれる既存の作品に似たものを出力することがあります。公開・販売すれば、著作権、商標権、肖像権・パブリシティ権などの侵害が問題になります。責任を負うのは原則としてその生成物を利用・公開した人で、AI 開発企業に責任が移るわけではありません。文章の生成物でも、既存の文章の複製や名誉毀損などの権利侵害は起こりえます。

利用規約の確認

生成AIサービスによって、生成物の商用利用の可否、権利の帰属、クレジット表示の要否などが利用規約で異なります。規約を確認せずに「すべて自由に商用利用できる」と考えるのは不適切です。

業務で使う際の手順

  1. 利用規約で商用利用と権利の帰属を確認する。
  2. 生成物が既存の作品や商標、実在の人物に似ていないか確認する。
  3. 含まれる事実・数値・引用を一次情報で確認する。

試験で問われる観点

この節の練習問題(12問)

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  1. 問1
    日本の著作権法のもとで、AI生成物の著作権に関する説明として最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1AIが生成したものは、人間の創作意図や創作的寄与の有無にかかわらず、プロンプトを入力した利用者の著作物として自動的に保護される。簡単な指示だけで生成したものも同様に著作物と認められる
    2. 2AIが生成したものは人間の創作的寄与があっても著作物とは認められず、法律上の保護を受けない。生成物を保護するには、特許庁に出願して意匠権や商標権として登録する必要がある
    3. 3AI自体は著作者になれず、人間の創作意図と創作的寄与が認められる場合に、その人間を著作者とする著作物になりうる。簡単な指示だけでAIが自律的に生成したものは著作物と認められない可能性が高い
    4. 4AI自体が著作者となることが認められており、生成物の著作権はAIの開発企業に自動的に帰属する。簡単な指示だけで生成したものであっても、利用者が商用利用するには開発企業の許諾が必要となる
    答えと解説

    正解: 3

    文化庁の「AIと著作権に関する考え方」では、AI生成物の著作物性は個別に判断され、プロンプトの分量や内容、試行回数、生成物の選択など、人間の創作的寄与の積み重ねが考慮されるとされています。AI自体は著作者になれず、簡単な指示だけで生成されたものは著作物と認められない可能性が高いです。開発企業や利用者に自動的に帰属することも、すべてが保護されることもありません。

  2. 問2
    AI生成物を業務で公開・利用する前に「事実確認」が必要とされる理由として、最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1生成AIの出力は学習データに基づくため内容は正確だが、社内の承認手続きとして確認を行った記録を形式的に残す必要があるため
    2. 2事実確認を行った生成物には利用者の創作的寄与が認められ、著作権が自動的に発生して自社の権利として保護されるようになるため
    3. 3生成AIの利用者には法律で公開前の事実確認が義務付けられており、確認を怠った状態で公開すると罰金などの行政処分の対象になるため
    4. 4生成AIは存在しない事実や出典、誤った数値をもっともらしく出力することがあり、誤情報の公開は信用失墜や損害賠償につながるため
    答えと解説

    正解: 4

    生成AIにはハルシネーションがあり、架空の判例や統計、誤った人物情報を出力することがあります。それを確認せずに公開すれば、誤情報の拡散、名誉毀損、顧客への誤案内などにつながり、利用者や企業が責任を負います。AIの出力がすべて正しいという前提は誤りで、事実確認によって著作権が発生するわけでもなく、罰金付きの法的義務があるわけでもありません(AI事業者ガイドラインは法的拘束力のない指針です)。

  3. 問3
    AI生成物が既存の権利を侵害する可能性に関する説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1生成物が既存の著作物・商標・実在人物の肖像などに類似していれば、著作権、商標権、肖像権・パブリシティ権などの侵害となる可能性があり、利用者に確認の責任がある
    2. 2生成物が既存の著作物に類似していても、AIが学習段階で著作物を利用することは著作権法30条の4で認められているため、生成物の利用についても同様に侵害は成立しない
    3. 3生成物の権利侵害が問題となるのは商標権と肖像権に限られ、著作権については生成AIの出力に著作物性が認められないため、類似していても侵害は成立しない
    4. 4生成物が既存の著作物に類似していた場合の責任は利用規約により生成AIの提供事業者が負うと定められており、利用者は出力を確認せずに商用利用してよい
    答えと解説

    正解: 1

    AI生成物は学習データに含まれる既存の作品に似たものを出力することがあり、公開・販売すれば著作権、商標権、肖像権・パブリシティ権などの侵害が問題になります。責任を負うのは原則としてその生成物を利用・公開した人であり、AI開発企業に責任が移るわけではありません。文章の生成物でも既存の文章の複製や名誉毀損など権利侵害は起こりえます。

  4. 問4
    社員Aは生成AIに「猫のイラスト」とだけ入力して出力された画像をそのまま使った。社員Bは構図・色・雰囲気を細かく指示し、数十回生成を繰り返して選び、さらに自分で加筆修正した。著作物性の観点で最も適切な説明を1つ選びなさい。
    1. 1Aの生成物は人間の創作的寄与が認められやすく著作物となる可能性があるが、Bの生成物は創作的寄与が乏しく著作物と認められない可能性が高い
    2. 2Bの生成物は人間の創作的寄与が認められやすく著作物となる可能性があるが、Aの生成物は創作的寄与が乏しく著作物と認められない可能性が高い
    3. 3AとBの生成物はどちらも生成AIを利用した時点で著作物となり、指示の細かさや加筆修正の有無にかかわらず同じように著作権で保護される
    4. 4AとBの生成物はどちらもAIが生成した部分を含むため著作物にはなりえず、Bが自ら加筆修正した部分についても著作権は生じない
    答えと解説

    正解: 2

    文化庁の考え方では、著作物性は指示の分量・内容、試行回数、複数の生成物からの選択、人間による加筆修正など、創作的寄与の積み重ねを総合して個別に判断されます。詳細な指示と繰り返しの選択、加筆を行ったBには創作的寄与が認められやすく、短い指示だけのAは著作物と認められない可能性が高いです。両方が必ず保護される、両方がなりえない、指示が短いほど保護されるという説明は誤りです。

  5. 問5
    生成AIに競合企業の概要を調べさせたところ、「同社は過去に行政処分を受けた」という記述が出力された。営業資料に載せる前の対応として最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1「AIによると」と注記すれば、事実でなくても問題ない
    2. 2競合企業の情報なので、真偽にかかわらず載せて構わない
    3. 3行政機関の公表資料など一次情報で事実を確認し、確認できなければ記載しない
    4. 4AIの出力なので事実として扱い、そのまま資料に載せる
    答えと解説

    正解: 3

    生成AIは実在の企業について事実と異なる不祥事を出力することがあります。裏付けのない内容を営業資料に載せれば、名誉毀損や信用毀損として損害賠償の対象になりえます。「AIによると」という注記は責任を免れる理由にならず、競合だから許されるということもありません。一次情報で確認し、確認できなければ記載しないのが適切です。

  6. 問6
    AI生成物の業務利用に関する記述として、不適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1生成AIサービスの利用規約で、生成物の商用利用の可否や権利の帰属がどう定められているか確認する
    2. 2生成物を公開する前に、既存の作品や商標に似ていないかを確認する
    3. 3生成物に含まれる事実・数値・引用は一次情報で確認する
    4. 4利用規約は読まなくても、生成物はすべて自由に商用利用できる
    答えと解説

    正解: 4

    生成AIサービスによって、生成物の商用利用の可否、権利の帰属、クレジット表示の要否などが利用規約で異なります。規約を確認せずに「すべて自由に商用利用できる」と考えるのは不適切です。規約の確認、類似性の確認、事実確認は、いずれもAI生成物を業務で使う際の適切な手順です。

  7. 問7
    デザイナーが画像生成AIに、構図・色・雰囲気を細かく指示し、数十回生成した中から選び、自分で加筆修正してポスターを完成させた。この生成物の著作物性の評価として最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1人間の創作意図と創作的寄与が認められやすく、著作物となる可能性がある
    2. 2AIを使った時点で著作物にはならず、誰でも自由に複製できる
    3. 3AIが生成した以上、著作者はAIの開発企業になり、デザイナーには権利がない
    4. 4生成AIの利用規約に「商用利用可」とあれば、それだけで自動的に著作物になる
    答えと解説

    正解: 1

    日本の著作権法では著作者は人間に限られ、AI生成物が著作物として保護されるかは、生成の過程に人間の創作意図と創作的寄与があるかで個別に判断されます。文化庁の考え方は、プロンプトの分量・内容、試行回数、複数の生成物からの選択、人間による加筆・修正を判断の要素に挙げています。細かい指示、多数の試行からの選択、加筆修正があれば、著作物となる可能性があります。AIを使った時点で著作物にならないわけではなく、AIや開発企業が自動的に著作者になることもなく、利用規約は著作物性を決めるものではありません。

  8. 問8
    「猫のイラスト」とだけ入力して生成された画像について、著作権の観点からの評価として最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1AIが著作者となり、AIの名義で著作権登録ができる
    2. 2人間の創作的寄与が乏しく、著作物と認められない可能性が高い
    3. 3入力した利用者が自動的に著作者となり、著作権が発生する
    4. 4生成したAIの開発企業が自動的に著作者となり、利用者は使用料を払う必要がある
    答えと解説

    正解: 2

    「猫のイラスト」とだけ入力して出力された画像は、人間の創作的寄与が乏しく、著作物と認められない可能性が高いとされています。AI生成物が自動的に利用者や開発企業の著作物になることはなく、AI自体は著作者になれません。

  9. 問9
    生成AIが「競合のA社は過去に行政処分を受けた」と出力した。これを自社の比較資料に載せる前の対応として最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1競合に不利な情報なので、事実でなくても営業上の判断として載せてよい
    2. 2AIの出力は開発企業が正確性を保証しているため、確認は不要である
    3. 3行政機関の公表資料などの一次情報で事実かどうかを確認し、確認できなければ載せない
    4. 4「AIの出力による」と注記すれば責任は問われないので、確認せずに載せる
    答えと解説

    正解: 3

    生成AIにはハルシネーションがあり、架空の処分や誤った情報を出力することがあります。確認せずに公開すれば誤情報の拡散や名誉毀損につながり、利用者や企業が責任を負います。注記は免責にならず、開発企業が正確性を保証しているわけでもありません。事実でない情報を載せることは当然認められません。

  10. 問10
    AI生成物を公開・販売するときの権利侵害に関する記述として、不適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1AI生成物は学習データに含まれる既存の作品に似たものを出力することがある
    2. 2公開・販売すれば、著作権、商標権、肖像権・パブリシティ権などの侵害が問題になりうる
    3. 3責任を負うのは原則としてその生成物を利用・公開した人である
    4. 4権利侵害が起きた場合の責任は、生成物を公開した人ではなくAIの開発企業にすべて移る
    答えと解説

    正解: 4

    AI生成物は既存の作品に似たものを出力することがあり、公開・販売すれば各種の権利侵害が問題になります。責任を負うのは原則としてその生成物を利用・公開した人で、AI開発企業に責任が移るわけではないため、その記述は不適切です。

  11. 問11
    生成AIの利用規約に関する記述として、不適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1すべての生成AIサービスの生成物は、規約を確認しなくても自由に商用利用できる
    2. 2生成物の商用利用の可否は、サービスによって利用規約で異なる
    3. 3生成物の権利の帰属やクレジット表示の要否も、利用規約で定められていることがある
    4. 4業務で使う前に、利用規約で商用利用と権利の帰属を確認する
    答えと解説

    正解: 1

    生成AIサービスによって、生成物の商用利用の可否、権利の帰属、クレジット表示の要否などが利用規約で異なります。規約を確認せずに「すべて自由に商用利用できる」と考えるのは不適切です。

  12. 問12
    日本の著作権法におけるAI生成物の著作者に関する原則として、最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1AI生成物は例外なく著作物にならず、誰が作ったものでも誰でも自由に利用できる
    2. 2著作者は人間に限られ、AIは著作者になれない。著作物性は人間の創作的寄与で個別に判断される
    3. 3AIが生成したものはすべてAIの開発企業の著作物となり、利用者は使うたびに利用料を支払う
    4. 4AIが生成したものはすべて利用者の著作物となり、創作的寄与の有無は一切問われない
    答えと解説

    正解: 2

    日本の著作権法では著作者は人間に限られ、AI自体は著作者になれません。AI生成物が著作物として保護されるかどうかは、生成の過程に人間の創作意図と創作的寄与が認められるかで個別に判断されます。開発企業や利用者の著作物に自動的になることも、例外なく著作物にならないこともありません。