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肖像権・パブリシティ権と不正競争防止法(営業秘密・限定提供データ)

第4章 情報リテラシー・基本理念とAI社会原則 / 節 6

シラバスのキーワード: 肖像権パブリシティ権不正競争防止法営業秘密限定提供データ生成AI活用における肖像権とパブリシティ権生成AI活用における不正競争防止法

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肖像権とパブリシティ権

肖像権 パブリシティ権
誰にある すべての人 主に著名人
性格 人格的な権利 財産的な権利
内容 自分の顔や姿を無断で撮影・公開されない 氏名や肖像が持つ顧客吸引力を独占的に利用できる
根拠 判例で認められている(明文の規定はない) 最高裁判例(ピンク・レディー事件、2012年)で認められている

どちらも登録によって発生する権利ではありません。

生成AIでのリスク

有名人の顔を生成AIで合成した画像を本人の許可なく広告に使う行為は、AI で作ったものであっても、その人物と認識できる以上、肖像権とパブリシティ権の侵害となる可能性が高く、損害賠償や使用差止めの対象になりえます。「AI 生成」と明記すること、本人が有名人(公人)であることは免責の理由になりません。同僚の顔写真を無断で AI に入力して加工し社内チャットに投稿する行為も肖像権の問題を生じます。有名人の声を再現して CM に使う場合も本人の許諾が必要になりえます。

不正競争防止法:営業秘密

営業秘密として法的保護を受けるには、次の3要件をすべて満たす必要があります。

  1. 秘密管理性: 秘密として管理されていること
  2. 有用性: 生産方法や販売方法など事業活動に有用な情報であること
  3. 非公知性: 公然と知られていないこと

登録や有料であることは要件ではなく、公開されている情報は非公知性を欠くため営業秘密になりません。

入力内容が学習や提供者側の保存に使われる生成AIサービスに社外秘の製造ノウハウを入力すると、秘密として管理していたとは言えない状態になり秘密管理性を失うリスクがあります。さらに学習を通じて他の利用者への出力に内容が現れれば、非公知性も損なわれます。提供者が自動的に秘密保持契約を結ぶことはなく、特許に変わることもありません。

限定提供データ

限定提供データは、2018年の不正競争防止法改正で導入された概念で、会員限定で提供される地図データや気象データ、機械の稼働データなど、業として特定の相手に提供され、電子的に相当量蓄積・管理されている技術上または営業上の情報を指します。秘密として管理されていないため営業秘密には当たりませんが、不正取得・不正使用などから保護されます。公開データや口頭の情報、単なる個人リストは該当しません。

試験で問われる観点

この節の練習問題(12問)

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  1. 問1
    「肖像権」と「パブリシティ権」の違いの説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1肖像権は自分の顔や姿を無断で撮影・公開されない人格的な権利で、パブリシティ権は著名人の氏名や肖像が持つ顧客吸引力を独占的に利用できる財産的な権利である
    2. 2肖像権は企業が自社のロゴや商品の外観を保護するための権利で、パブリシティ権は個人が自分の氏名や顔写真を広告に使われないよう求める権利であり、どちらも特許庁に登録して得る
    3. 3肖像権は著作権法に明文で定められた著作者の権利で、パブリシティ権は民法に明文で定められた人格権であり、どちらも著名人に限らず誰でも同じ範囲で行使できる財産的な権利である
    4. 4肖像権は著名人の氏名や肖像が持つ顧客吸引力を独占的に利用できる財産的な権利で、パブリシティ権は自分の顔や姿を無断で撮影・公開されない人格的な権利である
    答えと解説

    正解: 1

    肖像権は、誰にでもある「自分の容ぼうを無断で撮影・公表されない」人格的な権利です。パブリシティ権は、有名人の氏名や肖像が商品の販売促進などに働く顧客吸引力を、本人が独占的に利用できる財産的な権利で、最高裁の判例(ピンク・レディー事件)で認められています。どちらも登録によって発生する権利ではなく、企業と個人で分かれるものでもありません。

  2. 問2
    広告担当者が、人気俳優の顔を生成AIで合成した画像を、本人の許可なく自社商品の広告に使おうとしている。この行為の問題として最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1俳優は有名人であり公人に当たるため、肖像は自由に利用でき、権利侵害の問題は生じない
    2. 2俳優の肖像権やパブリシティ権を侵害する可能性が高く、損害賠償や差止めの対象となりうる
    3. 3AIで合成した画像は本人を撮影した写真ではないため、肖像権やパブリシティ権の対象にならない
    4. 4広告に「AI生成」と明記すれば商標権の問題は解消され、本人の許可を得る必要はなくなる
    答えと解説

    正解: 2

    有名人の顔を無断で広告に使う行為は、AIで合成したものであっても、その人物と認識できる以上、肖像権とパブリシティ権(顧客吸引力の無断利用)の侵害となる可能性が高く、損害賠償や使用差止めの対象になりえます。AI生成であることの明記や、本人が有名であることは免責の理由になりません。

  3. 問3
    不正競争防止法で保護される「営業秘密」の3つの要件として正しいものを1つ選びなさい。
    1. 1特許庁に出願されていること(出願性)、技術的な発明であること(技術性)、公然と知られていないこと(非公知性)
    2. 2秘密として管理されていること(秘密管理性)、創作性があること(創作性)、文書として固定されていること(固定性)
    3. 3秘密として管理されていること(秘密管理性)、事業に有用であること(有用性)、公然と知られていないこと(非公知性)
    4. 4事業に有用であること(有用性)、契約で守秘義務を課していること(契約性)、金銭的な価値があること(財産性)
    答えと解説

    正解: 3

    営業秘密として法的保護を受けるには、(1)秘密として管理されている(秘密管理性)、(2)生産方法や販売方法など事業活動に有用な情報である(有用性)、(3)公然と知られていない(非公知性)の3要件をすべて満たす必要があります。登録や有料であることは要件ではなく、公開されている情報は非公知性を欠くため営業秘密になりません。

  4. 問4
    社員が、社外秘の製造ノウハウを入力データが学習に利用される設定の生成AIサービスに入力した。不正競争防止法の観点で最も適切な説明を1つ選びなさい。
    1. 1生成AIへの入力はサービス提供者との通信にとどまるため、社外への開示には当たらず、営業秘密の3要件(秘密管理性・有用性・非公知性)に影響は生じない
    2. 2生成AIサービスの利用規約が自動的に秘密保持契約として機能するため、提供者が学習に利用しても営業秘密としての保護は維持され、有用性も損なわれない
    3. 3営業秘密は生成AIに入力した時点で特許庁に出願したものとみなされ、営業秘密としての保護は失われる代わりに、特許権としてより強い保護を受けられる
    4. 4秘密として管理されていない状態と評価され、営業秘密としての保護(秘密管理性)を失うリスクがあるほか、第三者の出力に内容が現れて非公知性も損なわれる恐れがある
    答えと解説

    正解: 4

    入力内容が学習や提供者側の保存に使われるサービスに営業秘密を入力すると、社内で秘密として管理していたとは言えない状態になり、秘密管理性を失って法的保護を受けられなくなるリスクがあります。さらに学習を通じて他の利用者への出力に内容が現れれば、非公知性も損なわれます。提供者が自動的に秘密保持契約を結ぶことはなく、特許に変わることもありません。

  5. 問5
    不正競争防止法の「限定提供データ」の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1業として特定の者に提供する情報として、電磁的方法により相当量蓄積・管理されている技術上または営業上の情報で、営業秘密には該当しないが不正な取得・使用から保護される
    2. 2秘密として管理され、事業活動に有用で、公然と知られていない技術上または営業上の情報で、営業秘密として不正な取得・使用・開示から保護される
    3. 3業として不特定多数の者に無償で公開されている技術上または営業上の情報で、誰でも自由に利用できるため、不正競争防止法による保護の対象にはならない
    4. 4個人の氏名や住所などを電磁的方法により相当量蓄積・管理したデータベースで、個人情報保護法ではなく不正競争防止法によって取得・利用が規制される
    答えと解説

    正解: 1

    限定提供データは、2018年の不正競争防止法改正で導入された概念で、会員限定で提供される地図データや気象データ、機械の稼働データなど、業として特定の相手に提供され、電子的に相当量蓄積・管理されている情報を指します。秘密として管理されていないため営業秘密には当たりませんが、不正取得・不正使用などから保護されます。秘密管理性・有用性・非公知性の3要件を満たす情報は営業秘密の説明です。不特定多数に公開されている情報は保護の対象外で、個人情報のデータベースを規制するのは個人情報保護法です。

  6. 問6
    生成AIの利用と権利に関する記述として、不適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1自社の営業秘密を生成AIに入力する際は、入力データの保存・学習の扱いを確認し、社内ルールに従う必要がある
    2. 2生成AIで作った画像は、誰の顔に似ていても権利侵害になることはない
    3. 3同僚の顔写真を本人に無断で生成AIに入力し、加工した画像を社内チャットに投稿することは肖像権の問題を生じうる
    4. 4有名人の声を生成AIで再現して商品のCMに使う場合、本人の許諾が必要になりうる
    答えと解説

    正解: 2

    生成AIで作った画像であっても、実在の人物と認識できる顔であれば肖像権やパブリシティ権の侵害が問題になりえます。したがって「誰の顔に似ていても権利侵害にならない」という記述は誤りです。同僚の写真の無断加工、有名人の声の商用利用における許諾の必要性、営業秘密の入力時の確認は、いずれも適切な認識です。

  7. 問7
    生成AIで有名俳優の顔を合成した画像を、本人の許可なく自社商品の広告に使おうとしている。この行為の評価として最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1「AI生成」と明記しておけば、本人の許可がなくても広告に使って法律上の問題はまったくない
    2. 2有名人は公人なので、顔や氏名を広告に使われても権利を主張することはできないと考えてよい
    3. 3AI生成でもその人物と認識できる以上、肖像権とパブリシティ権の侵害となる可能性が高い
    4. 4AIが生成した画像は本人を実際に撮影したものではないため、肖像権もパブリシティ権も侵害しない
    答えと解説

    正解: 3

    有名人の顔を生成AIで合成した画像を本人の許可なく広告に使う行為は、AIで作ったものであっても、その人物と認識できる以上、肖像権(自分の顔や姿を無断で公開されない人格的権利)とパブリシティ権(氏名や肖像の顧客吸引力を独占的に利用できる財産的権利)の侵害となる可能性が高く、損害賠償や使用差止めの対象になりえます。「AI生成」の明記や、本人が有名人であることは免責の理由になりません。

  8. 問8
    肖像権とパブリシティ権の違いの説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1肖像権は著名人だけが持つ財産的な権利、パブリシティ権はすべての人が持つ人格的な権利である
    2. 2肖像権は特許庁に登録して発生する権利、パブリシティ権は文化庁に登録して発生する権利である
    3. 3肖像権は写真に対してだけ適用され、パブリシティ権は動画に対してだけ適用される権利である
    4. 4肖像権はすべての人が持つ人格的な権利、パブリシティ権は著名人の顧客吸引力を保護する財産的な権利
    答えと解説

    正解: 4

    肖像権は、自分の顔や姿を無断で撮影・公開されない人格的な権利で、すべての人にあります。パブリシティ権は、主に著名人の氏名や肖像が持つ顧客吸引力を独占的に利用できる財産的な権利で、最高裁判例で認められています。どちらも登録で発生する権利ではなく、写真と動画で分かれるものでもありません。

  9. 問9
    製造部門の社員が、社外秘の製造ノウハウを、入力内容が学習に使われる設定の生成AIサービスに入力して要約させた。不正競争防止法の観点で最も問題となる点を1つ選びなさい。
    1. 1秘密として管理していたとは言えない状態になり、営業秘密の要件である秘密管理性を失うリスクがある
    2. 2生成AIに入力した時点で特許権が自動的に消滅し、他社が同じ技術を自由に使えるようになる
    3. 3要約という行為そのものが不正競争防止法で禁止されており、入力しただけで刑事罰の対象になる
    4. 4生成AIの提供者が自動的に営業秘密として保護してくれるため、法的な問題は生じない
    答えと解説

    正解: 1

    営業秘密として保護されるには、秘密管理性・有用性・非公知性の3要件をすべて満たす必要があります。入力内容が学習や提供者側の保存に使われるサービスに社外秘のノウハウを入力すると、秘密として管理していたとは言えない状態になり秘密管理性を失うリスクがあり、学習を通じて他の利用者への出力に現れれば非公知性も損なわれます。特許権の消滅、要約行為の禁止、提供者による自動保護という説明はいずれも誤りです。

  10. 問10
    不正競争防止法の営業秘密に関する記述として、不適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1生産方法や販売方法など、事業活動に有用な情報であることが求められる
    2. 2特許庁に登録するか、有料で提供していることが営業秘密の要件である
    3. 3秘密管理性、有用性、非公知性の3要件をすべて満たす必要がある
    4. 4公然と知られている情報は、非公知性を欠くため営業秘密にならない
    答えと解説

    正解: 2

    営業秘密の要件は秘密管理性・有用性・非公知性の3つで、公開されている情報は非公知性を欠きます。登録や有料であることは要件ではないため、その記述は不適切です。

  11. 問11
    不正競争防止法で2018年の改正により導入された「限定提供データ」とは何か。最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1本人の同意を得て取得した要配慮個人情報で、第三者への提供が法律で制限されている情報
    2. 2創作と同時に自動的に発生する権利で保護される、文章や画像などの創作物としての情報
    3. 3業として特定の相手に提供され、電子的に相当量蓄積・管理されている技術上または営業上の情報
    4. 4秘密として管理され、公然と知られておらず、事業活動に有用な情報で、3要件で保護される情報
    答えと解説

    正解: 3

    限定提供データは、2018年の不正競争防止法改正で導入された概念で、会員限定の地図データや気象データ、機械の稼働データなど、業として特定の相手に提供され、電子的に相当量蓄積・管理されている技術上または営業上の情報を指します。秘密として管理されていないため営業秘密にはならないデータを保護するものです。営業秘密の3要件、要配慮個人情報、著作物の説明とは別です。

  12. 問12
    生成AIと肖像権・パブリシティ権に関する記述として、不適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1AIで合成した画像でも、実在の人物と認識できれば権利侵害になりうる
    2. 2肖像権は法律に明文の規定はないが、判例によって認められている権利である
    3. 3パブリシティ権は最高裁判例で認められた、著名人の財産的な権利である
    4. 4「AI生成」と明記すれば、本人の許可なく顔を使った広告も権利侵害にならない
    答えと解説

    正解: 4

    AIで合成した画像でも、実在の人物と認識できれば肖像権やパブリシティ権の侵害になりえます。肖像権は判例で、パブリシティ権は最高裁判例で認められています。「AI生成」と明記することは免責の理由にならないため、その記述は不適切です。