知的財産権の種類
| 権利 | 保護対象 | 発生 |
|---|---|---|
| 著作権 | 文章、音楽、絵画、写真、プログラムなどの創作物 | 創作と同時に自動発生(無方式主義) |
| 特許権 | 技術的な発明 | 特許庁への出願・審査・登録 |
| 商標権 | 商品・サービスを識別する名称やロゴ | 特許庁への出願・登録 |
| 意匠権 | 物品の形状・模様・色彩などのデザイン | 特許庁への出願・登録 |
生成AIで作ったロゴやデザインを事業で使う際は、他者の商標や意匠に抵触しないかの確認が必要です。
著作権侵害の2要件
著作権侵害は、既存の著作物と表現が似ている類似性と、その著作物を知ったうえで利用した依拠性の両方が認められる場合に成立します。類似性は、既存の著作物の「表現上の本質的な特徴」を感じ取れるかで判断され、アイデアや画風(作風)が似ているだけでは認められません。有料か営利かどうか、作者の知名度、AI 利用の有無は成立要件ではありません。
AIの学習と著作権法第30条の4
著作権法第30条の4は、著作物に表現された思想・感情を享受することを目的としない利用(情報解析など)を、原則として権利者の許諾なく認めています。AI の学習はこれに当たりえます。ただし、学習データに含まれる著作物の創作的表現をそのまま出力させる目的が併存する場合や、著作権者の利益を不当に害する場合は適用されません。「常に許諾が必要」「常に自由」という極端な理解はどちらも誤りです。
文化庁「AIと著作権に関する考え方」(2024年3月)
生成・利用段階の依拠性について、次の整理が示されています。
- 利用者が既存の著作物を認識していた場合や、その著作物をプロンプトに入力した場合は、依拠性が認められる。
- 利用者が認識していなくても、その著作物が AI の学習データに含まれていれば、依拠性が推認されうる。
- 学習データにも含まれず利用者も知らなかった場合は、偶然の一致として依拠性は否定される。
特定の漫画家の作品名を挙げて「この作風で描いて」と指示した場合、作風そのものは保護されませんが、生成物が特定の作品の具体的表現を再現していれば類似性があり、作品名を指定した以上、依拠性も認められやすくなります。
名誉毀損
生成AIが出力した、実在の人物に関する虚偽の内容をそのまま公開すると、公開した人が名誉毀損の責任を問われる可能性があります。「AI が書いた」ことは免責の理由になりません。インターネット上の投稿にも適用され、法人に対しても成立します。
ケースで考える
- 生成AIで作った自社ロゴが有名ブランドのロゴと酷似していた → AI が作ったものでも商標権・著作権侵害の問題は生じるため、使用をやめて作り直す。色を変えるだけでは類似性は解消されにくく、社内利用でも侵害は成立しうる。
試験で問われる観点
- 4つの権利の保護対象と発生の仕方(著作権だけ登録不要)。
- 侵害の2要件は類似性と依拠性。
- 第30条の4は「原則許諾不要、ただし例外あり」。
- 依拠性の3つの場合分け。
- 名誉毀損は AI 生成でも公開者の責任。