生成AIパスポート › Web参考書 › 第1章

ニューラルネットワークとディープラーニング

第1章 AI(人工知能) / 節 3

シラバスのキーワード: ニューロンシナプス人工ニューロン(ノード)ニューラルネットワークディープラーニング重み情報の重みづけ

本文を読んだあと、覚えているか確認してください。

脳の仕組みをまねる

人間の脳では、ニューロン(神経細胞)がシナプスという接続部を通じて信号をやり取りしています。ニューラルネットワークはこの構造にヒントを得た数理モデルで、ニューロンに相当するのが人工ニューロン(ノード)、シナプスの結合の強さに相当するのが重みです。

ただし、ニューラルネットワークは脳を物理的に複製したものではなく、意識を持つものでもありません。「脳をそのまま再現した」「人間と同じ意識を持つ」という断定は誤りです。

重みと情報の重みづけ

各ノードは複数の入力を受け取り、それぞれの入力に重みを掛けて足し合わせ、次のノードへ出力します。重みは「その入力をどれだけ重視するか」を表す数値で、情報の重みづけとも言います。重みは学習によって調整される値で、人間が固定的に設定するものではありません。

学習の仕組み

ニューラルネットワークの学習とは、出力と正解のずれ(誤差)を計算し、誤差が小さくなる方向へ重みを少しずつ更新する処理を、大量のデータで繰り返すことです。これによって人間がルールを書かなくても精度が上がっていきます。ノードの数を増やすことや、ルールを追加することは学習ではありません。

ディープラーニング

入力層と出力層の間にある中間層(隠れ層)を多数重ねたニューラルネットワークを使う手法がディープラーニング(深層学習)です。層を深くすることで、人間が「どこに注目するか」(特徴量)を設計しなくても、データから特徴を自動的に学習できます。2010年代の画像認識コンテストでの圧勝をきっかけに広まり、第三次AIブームと生成AIの基盤になりました。

画像認識の流れ

ディープラーニングが画像を認識するときは、入力された画素の情報を層ごとに処理し、浅い層では輪郭(エッジ)や色などの単純な特徴、深い層ではそれらを組み合わせた形や部品、さらに物体全体といった抽象度の高い特徴を段階的に抽出します。この階層的な特徴抽出が、従来の方法より高い精度を出せる理由です。

試験で問われる観点

この節の練習問題(12問)

答えを見る前に選んでから開いてください。同じ問題は章別演習でランダム出題されます。

  1. 問1
    人間の脳で、神経細胞(ニューロン)同士が信号をやり取りする接続部分の名称として正しいものを1つ選びなさい。
    1. 1シナプス
    2. 2ノード
    3. 3パラメータ
    4. 4レイヤー
    答えと解説

    正解: 1

    脳ではニューロン(神経細胞)がシナプスという接続部を介して信号を伝えます。ニューラルネットワークはこの構造をまねたもので、ニューロンに相当するのが人工ニューロン(ノード)、シナプスの結合の強さに相当するのが重みです。ノードは人工ニューロン、パラメータは重みなどの学習で調整される値、レイヤー(層)はノードのまとまりを指す言葉で、脳の接続部の名称ではありません。

  2. 問2
    ニューラルネットワークにおける「重み」の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1人間が手作業で固定的に設定し、学習中は変化しない数値である。
    2. 2ノード間の結合の強さを表す数値で、学習によって調整される。
    3. 3モデルのファイルサイズを表す数値で、大きいほど高性能である。
    4. 4学習に使ったデータの件数を表す数値である。
    答えと解説

    正解: 2

    重みはノード同士の結合の強さを表す数値で、入力信号にどれだけ重要度を与えるか(情報の重みづけ)を決めます。学習とは、正解に近づくようにこの重みを少しずつ調整していく作業です。ファイルサイズやデータ件数は重みとは別の概念です。「人間が固定的に設定し学習中は変化しない」という説明は、学習によって調整されるという重みの本質と正反対です。

  3. 問3
    ディープラーニング(深層学習)の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1人間が設計した特徴量を入力として、決定木を多段に組み合わせて分類の精度を高めていく手法
    2. 2中間層を持たない単層パーセプトロンを用い、線形分離が可能なデータのみを分類する手法
    3. 3中間層を多層に重ねたニューラルネットワークを使い、データから特徴を自動的に学習する手法
    4. 4大量のif-thenルールを専門家が階層的に記述し、推論エンジンで結論を導く知識ベースの手法
    答えと解説

    正解: 3

    ディープラーニングは、入力層と出力層の間に中間層(隠れ層)を多数重ねたニューラルネットワークを用いる機械学習の手法です。層を深くすることで、人間が特徴量を設計しなくてもデータから特徴を自動的に学習できる点が特徴です。人間が設計した特徴量で決定木を多段に組み合わせるのは勾配ブースティングなどの従来型の機械学習、中間層を持たない単層パーセプトロンは線形分離しかできない初期のモデル、専門家がif-thenルールを記述するのはエキスパートシステムで、いずれもディープラーニングではありません。

  4. 問4
    ディープラーニングを使ったAIが画像を認識する仕組みの説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1画像を人間が一枚ずつ言葉で説明したテキストをそのまま記憶し、入力画像に最も近い説明文を持つ画像を探して判別する。
    2. 2画像に付けられたファイル名やメタデータの単語を読み取り、あらかじめ用意した辞書と照合して画像の内容を判別する。
    3. 3画素の情報から、浅い層で物体全体の複雑な形を、深い層で輪郭や色などの単純な特徴を段階的に抽出して判別する。
    4. 4画素の情報から、浅い層で輪郭や色などの単純な特徴を、深い層でより複雑な形や物体の特徴を段階的に抽出して判別する。
    答えと解説

    正解: 4

    画像認識では、入力された画素の情報を層ごとに処理し、浅い層ではエッジ(輪郭)や色といった単純な特徴、深い層ではそれらを組み合わせた形や部品、さらに物体全体といった抽象度の高い特徴を段階的に抽出します。この階層的な特徴抽出がディープラーニングの強みです。浅い層で複雑な形、深い層で単純な特徴という順序は逆です。説明文の記憶やファイル名・メタデータの照合は画素の中身を見ておらず、認識の仕組みとして成り立ちません。

  5. 問5
    人間の脳とニューラルネットワークの対応関係についての記述として、不適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1ニューラルネットワークは脳を物理的にそのまま複製したものなので、人間と同じ意識を持つ。
    2. 2脳のニューロンに相当するのが、ニューラルネットワークの人工ニューロン(ノード)である。
    3. 3脳のシナプスの結合の強さに相当するのが、ニューラルネットワークの重みである。
    4. 4ニューラルネットワークは脳の構造にヒントを得た数理モデルであり、脳を完全に再現したものではない。
    答えと解説

    正解: 1

    ニューラルネットワークは脳の神経回路の仕組みにヒントを得た数理モデルにすぎず、脳を物理的に複製したものでも、意識を持つものでもありません。ニューロンとノード、シナプスの結合の強さと重みが対応するという説明や、「脳を完全に再現したものではない」という説明はいずれも正しい内容です。「脳をそのまま複製したので人間と同じ意識を持つ」と断定する記述が誤りです。断定表現には注意が必要です。

  6. 問6
    ニューラルネットワークが「学習によって改善される」とは、具体的にどのような処理を指すか。最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1入力データの件数が増えるたびに、ノードの活性化関数を別の種類へ自動で置き換える処理
    2. 2出力と正解のずれ(誤差)が小さくなるように、ノード間の重みを繰り返し調整する処理
    3. 3学習データに含まれるノイズを取り除き、入力の特徴量を人間が選び直して与える処理
    4. 4出力と正解が一致した回数を数え、正解率が高い順にノードの並び順を入れ替える処理
    答えと解説

    正解: 2

    ニューラルネットワークの学習とは、出力と正解との誤差を計算し、その誤差が小さくなる方向に重みを少しずつ更新する処理を大量のデータで繰り返すことです。これにより人間がルールを書かなくても精度が上がっていきます。活性化関数を自動で置き換えたり、ノードの並び順を入れ替えたりする処理は学習ではありません。特徴量を人間が選び直す作業は前処理であり、学習による改善そのものではありません。

  7. 問7
    ニューラルネットワークの「重み」に関する記述として、不適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1各ノードは入力に重みを掛けて足し合わせ、その結果を次のノードへ出力する
    2. 2学習によって誤差が小さくなる方向へ少しずつ更新される値である
    3. 3人間が設計段階で固定的に決める値で、学習の過程では変化しない
    4. 4脳のシナプスの結合の強さに相当し、各入力をどれだけ重視するかを表す数値である
    答えと解説

    正解: 3

    重みはシナプスの結合の強さに相当する数値で、各ノードは入力に重みを掛けて足し合わせて出力します。重みは学習によって誤差が小さくなる方向に更新される値であり、「人間が固定的に決めて学習中は変化しない」という記述は誤りです。

  8. 問8
    脳の仕組みとニューラルネットワークの用語の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1ニューロンは重みに、シナプスは入力層に対応する
    2. 2ニューロンは出力層に、シナプスはノードに対応する
    3. 3ニューロンは特徴量に、シナプスは正解ラベルに対応する
    4. 4ニューロンはノードに、シナプスの結合の強さは重みに対応する
    答えと解説

    正解: 4

    ニューラルネットワークは脳の構造にヒントを得た数理モデルで、神経細胞であるニューロンが人工ニューロン(ノード)に、シナプスの結合の強さが重みに対応します。重み・入力層・出力層・特徴量・正解ラベルはそれぞれ別の概念で、他の対応付けは誤りです。

  9. 問9
    画像分類モデルの精度が低い。「学習」として行うべき処理の説明で、最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1出力と正解のずれ(誤差)を計算し、誤差が小さくなる方向へ重みを更新する処理を大量のデータで繰り返す
    2. 2判断の根拠となるルールを人間が追加で書き足し、例外的な画像にも対応できるよう仕組みを広げる
    3. 3ノードの数を増やすだけで精度は自動的に上がるので、層の構造を大きくして学習は省略する
    4. 4正解ラベルを画像から取り除き、データの構造だけを見つけさせてグループ分けで分類させる
    答えと解説

    正解: 1

    ニューラルネットワークの学習とは、出力と正解のずれである誤差を計算し、誤差が小さくなる方向に重みを少しずつ更新する処理を大量のデータで繰り返すことです。人間がルールを書き足すのはルールベースの発想で、学習ではありません。ノードを増やすだけで精度が上がるわけではなく、学習は省略できません。正解ラベルを取り除くと教師なし学習になり、分類精度の改善にはなりません。

  10. 問10
    ディープラーニングに関する記述として、不適切なものを1つ選びなさい。
    1. 12010年代の画像認識コンテストで大幅に精度を更新し、第三次AIブームの中心技術になった
    2. 2人間の脳を物理的に複製したもので、学習を重ねると人間と同じ意識を持つようになる
    3. 3入力層と出力層の間の中間層を多数重ねたニューラルネットワークを使う手法である
    4. 4層を深くすることで、人間が特徴量を設計しなくてもデータから特徴を自動で学習できる
    答えと解説

    正解: 2

    ディープラーニングは中間層を多層にしたニューラルネットワークを使う手法で、特徴量を自動で学習できることが強みです。画像認識コンテストでの成果が第三次AIブームの中心になりました。ニューラルネットワークは脳を物理的に複製したものではなく、意識を持つものでもないため、その記述は不適切です。

  11. 問11
    ディープラーニングによる画像認識の特徴抽出の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
    1. 1深い層で輪郭や色を抽出し、浅い層でそれを組み合わせて物体全体を認識する順序で処理する
    2. 2人間が画像ごとに注目すべき場所を指定し、その場所の画素だけを各層が順に読み取る
    3. 3浅い層で輪郭や色などの単純な特徴を、深い層でそれらを組み合わせた形や物体全体を段階的に抽出する
    4. 4すべての層が同時に物体全体を認識し、層ごとの役割の違いはなく層の数は精度に影響しない
    答えと解説

    正解: 3

    ディープラーニングの画像認識では、浅い層が輪郭や色などの単純な特徴を、深い層がそれらを組み合わせた形や部品、物体全体といった抽象度の高い特徴を段階的に抽出します。層ごとに役割が違い、順序は単純から複雑です。人間が注目場所を指定するのは従来の特徴量設計の発想で、ディープラーニングは特徴を自動で学習します。

  12. 問12
    不良品の画像検査にディープラーニングを採用する利点を経営層に説明する。最も適切な説明を1つ選びなさい。
    1. 1不良品の写真が数枚あれば十分で、学習データを集める手間がほとんどかからない
    2. 2人間の脳と同じ仕組みで判断するため、検査員と同じ判断を常に保証できる
    3. 3一度学習させれば、照明や製品が変わっても再学習なしで精度を保ち続けられる
    4. 4人間が注目すべき特徴を設計しなくても、画像データから特徴を自動で学習できる
    答えと解説

    正解: 4

    正解は「人間が注目すべき特徴を設計しなくても、画像データから特徴を自動で学習できる」です。ディープラーニングの利点は、人間が「どこに注目するか」(特徴量)を設計しなくても、データから特徴を自動で学習できることです。学習には大量のデータが必要で、数枚で十分という説明は誤りです。脳と同じ仕組みで人間と同じ判断を保証するという説明も誤りで、照明や製品が変われば精度が下がることがあり、再学習が必要になる場合があります。