2つの仕組み:ルールベースと機械学習
AI に知的な振る舞いをさせる方法は、大きく2つあります。
ルールベースは、人間が「もし〜ならば〜する」という条件と処理をあらかじめ書き、AI がそのルールに従って判断する方式です。仕組みが分かりやすく、判断の根拠を説明できる利点がある一方、ルールに書かれていない状況には対応できず、ルールが増えると保守が難しくなります。1980年代のエキスパートシステムがこの方式の代表です。
機械学習は、大量のデータからパターンや規則性をコンピュータ自身が見つけ出す方式です。人間がルールを書かなくても、データが多ければ精度が上がります。現在の AI の主流はこちらで、生成AIも機械学習(その中のディープラーニング)の成果です。
機械学習の3つの手法
| 手法 | 与えるもの | 代表的な用途 |
|---|---|---|
| 教師あり学習 | 入力データと正解(ラベル)のペア | 画像分類、迷惑メール判定、売上予測 |
| 教師なし学習 | 正解のないデータ | クラスタリング(グループ分け)、次元削減 |
| 強化学習 | 行動の結果に対する報酬 | 囲碁・将棋のAI、ロボットの制御 |
教師あり学習は、「この画像は猫」「このメールは迷惑メール」のように正解ラベル付きのデータで学習します。分類(カテゴリを当てる)と回帰(数値を予測する)に分かれます。
教師なし学習は、正解を与えずにデータの構造を見つけます。似たデータをまとめるクラスタリング(顧客のグループ分けなど)と、データの特徴を保ったまま変数の数を減らす次元削減が代表です。
強化学習は、エージェントが環境の中で行動を選び、得られる報酬が最大になるように試行錯誤で学びます。正解を教えるのではなく「結果の良し悪し」を返す点が教師あり学習と違います。
このほかに、少量のラベル付きデータと大量のラベルなしデータを組み合わせる半教師あり学習があります。ラベル付けの手間を減らせるのが利点です。
学習済みモデル
データで学習を終え、重み(パラメータ)が定まって、新しい入力に対して予測や分類ができる状態になったモデルを学習済みモデルと呼びます。ChatGPT のような生成AIも、巨大な学習済みモデルを利用者が使っている形です。
ノーフリーランチ定理
「あらゆる問題に対して常に最も優れた性能を発揮する万能のアルゴリズムは存在しない」という定理です。すべての問題で平均すると、どのアルゴリズムも性能に差がなくなることを示しており、「問題に応じて適切な手法を選ぶ必要がある」という教訓として引用されます。「データを増やせば必ず解決する」「計算資源を増やせば何でも解ける」といった主張とは正反対の内容です。
試験で問われる観点
- ルールベースは人間がルールを書く。機械学習はデータから学ぶ。
- 教師あり(正解あり)、教師なし(正解なし、クラスタリング・次元削減)、強化学習(報酬)の区別。
- 業務のケース問題では、「ラベル付きデータが大量にある → 教師あり学習」のように、状況から手法を選ばせる。
- ノーフリーランチ定理は「万能のアルゴリズムはない」。



