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AIサービス提供契約(SaaS型の特殊性、データ利用権、利用規約、精度保証、保守)

第9章 AIに関する法律と契約 / 節 7

シラバスのキーワード: SaaSデータ利用権利用規約精度保証保守契約

本文を読んだあと、覚えているか確認してください。

SaaS型の特殊性

AIサービスを、モデルを利用者に引き渡すのではなくクラウド上でサービスとして提供する形態がSaaS型です。提供者はモデルを自社で管理し続けるため、複数の利用者に同じモデルを提供でき、更新も容易です。一方で、利用者の入力データが提供者側に渡り、モデルの改善(学習)に使われることがあるという特殊性があります。

利用者側の確認事項

提供者側の契約条項

利用規約で、サービスの内容、データ利用権(入力データや出力を提供者がどの範囲で利用できるか)、知的財産の帰属、精度や結果に関する免責、サービスの変更・停止、保守やモデル更新の条件を定めます。モデルの更新によって出力が変わりうることも明記されます。

試験で問われる観点

この節の練習問題(4問)

答えを見る前に選んでから開いてください。同じ問題は章別演習でランダム出題されます。

  1. 問1
    SaaS型でAIサービスを提供・利用する際の契約上の留意点として、最も適切なものを選びなさい。
    1. 1利用者が入力したデータをサービス提供者がモデルの改善などに利用してよいかというデータ利用権の範囲、出力の精度を保証しない旨、保守やサービス水準、知的財産の帰属などを利用規約や契約で明確にしておく必要がある
    2. 2SaaS型では利用者が入力したデータは自動的にサービス提供者の所有物となり、モデルの改善への利用も当然に認められるため、データ利用権の範囲や知的財産の帰属を契約で定める必要はなく、保守やサービス水準の取り決めだけを明確にしておけばよい
    3. 3SaaS型のAIサービスでは出力の精度が保証されるのが通常であり、誤った出力による損害の責任は提供者が負うため、利用者は精度保証の条項を確認すれば足り、データ利用権の範囲や知的財産の帰属は契約で定める必要がない
    4. 4SaaS型ではソフトウェアを利用者の手元の環境にインストールして利用するため、サービス提供者による保守やサービス水準の取り決めは不要であり、入力データも利用者の環境から外に出ないためデータ利用権の範囲を定める必要はない
    答えと解説

    正解: 1

    SaaS(Software as a Service)は、提供者のサーバー上のソフトウェアをネットワーク経由で多数の利用者が使う形態で、個別開発と違い、利用規約で一律に条件が定められるのが特徴です。AIサービスでは、入力データの学習利用の可否(データ利用権)、出力の正確性を保証しないこと、サービスの継続性や保守、生成物の権利帰属が重要な確認事項です。データが自動的に提供者のものになるわけではなく、精度が保証されるのが通常でもありません。

  2. 問2
    ある企業がSaaS型のAIサービスを利用するにあたり、利用規約に「利用者が入力したデータをサービスの品質向上(モデルの学習)に利用することがある」と書かれていた。利用者側の対応として最も適切なものを選びなさい。
    1. 1利用規約は提供者が一方的に定めた形式的な文書であり法的な効力を持たないため、機密情報や個人情報の入力は自由に行い、学習利用の拒否(オプトイン)は問題が発生した時点で提供者に申し入れれば足りる
    2. 2入力データに自社の機密情報や個人情報が含まれる場合でも、SaaSでは提供者が個人情報取扱事業者として責任を負うため、学習利用を拒否する設定(オプトアウト)を行わず、データの保存場所や削除の条件も確認しなくてよい
    3. 3入力データがモデルの学習に使われるとサービスの精度が向上して自社にも利益があるため、機密情報や個人情報も積極的に入力し、学習利用を拒否できる設定や契約条項があっても利用しないことが望ましい
    4. 4入力データに自社の機密情報や個人情報が含まれる場合、学習への利用を許容できるか確認し、学習利用を拒否できる設定や契約条項(オプトアウト)があるか、データの保存場所や削除の条件も含めて確認する
    答えと解説

    正解: 4

    SaaS型AIサービスでは、入力データの学習利用の有無、データの保存場所と期間、削除の条件、精度が保証されないこと(免責)などが利用規約で定められています。機密情報や個人情報を入力する場合は、学習利用のオプトアウトや法人向け契約の条件を確認する必要があります。精度は一般に保証されず、出力の確認は利用者の責任です。

  3. 問3
    自社のAIをSaaS型で提供する企業が利用規約を作成している。モデルを定期的に更新する予定がある場合に、規約で定めておく事項として最も適切なものを選びなさい。
    1. 1更新後も全利用者に同一の出力が永続的に得られることを保証する
    2. 2更新で出力が変わりうることと、精度や結果に関する免責を定める
    3. 3更新のたびに、学習済みモデルの重みを全利用者に引き渡す
    4. 4入力データの利用範囲は定めず、提供者が自由に学習に使う
    答えと解説

    正解: 2

    SaaS型では提供者がモデルを管理し続けて更新するため、利用規約にはモデルの更新で出力が変わりうることや、精度・結果に関する免責を明記します。同一の出力を永続的に保証することは更新と両立しません。SaaS型はモデルを引き渡さない形態であり、入力データの利用範囲もデータ利用権として規約で定めておく必要があります。

  4. 問4
    SaaS型のAIサービスを利用する企業が、契約前に確認する事項に関する記述として、誤っているものを選びなさい。
    1. 1入力データを学習に利用するか、利用を拒否(オプトアウト)できるかを確認する
    2. 2データの保存場所(国・地域)と保存期間、削除の条件を確認する
    3. 3モデルが手元に引き渡されるため、入力データの扱いは確認不要である
    4. 4出力の権利の帰属と、商用利用の可否を確認する
    答えと解説

    正解: 3

    SaaS型はモデルを利用者に引き渡さずクラウド上でサービスとして提供する形態で、入力データが提供者側に渡り学習に使われることがあるため、入力データの扱いの確認は欠かせません。入力データの学習利用とオプトアウトの可否、保存場所と保存期間、出力の権利の帰属と商用利用の可否は、いずれも利用者側の確認事項です。