AI倫理とAIガバナンス
AI倫理は、AIの開発と利用において守るべき価値や原則を指します。AIガバナンスは、その倫理を組織や社会で実践するための体制、プロセス、ルールです。
共通する価値原則
OECDのAI原則(2019年)、EUの倫理ガイドライン、日本の「人間中心のAI社会原則」など、国内外のガイドラインには共通する価値原則があります。
- 人間中心、人間の尊厳と自律性の尊重
- 公平性、非差別
- 透明性と説明可能性
- 安全性とセキュリティ
- プライバシーの保護
- アカウンタビリティ(責任、説明責任)
日本のAI事業者ガイドライン
2024年に総務省と経済産業省が、従来の複数のガイドラインを統合して公表しました。AI開発者・提供者・利用者という主体ごとに守るべき事項を整理し、法的拘束力を持たないソフトローとして事業者の自主的なガバナンスを促します。技術の変化に合わせて改訂される「リビングドキュメント」とされています。2025年には、AIの研究開発と活用を推進する基本法としてAI新法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律)が成立しました。
ハードローとソフトロー、リスクベースアプローチ
| ハードロー | ソフトロー | |
|---|---|---|
| 内容 | 法律など法的拘束力のあるルール | ガイドライン、原則、自主規制など拘束力のないルール |
| 利点 | 実効性が高い | 技術の変化に柔軟に対応できる |
| 欠点 | 制定に時間がかかり、技術の変化に遅れる | 守られない可能性がある |
リスクベースアプローチは、AIの用途ごとのリスクの大きさに応じて規制の強さを変える考え方です。EUのAI法(AI Act)はその代表で、社会的スコアリングなど許容できないリスクのAIを禁止し、雇用・与信・重要インフラなどの高リスクAIには厳格な義務を課し、限定的・最小リスクには軽い義務にとどめる、法的拘束力のあるハードローです。EU域外の企業でもEUにAIを提供すれば適用されます。
試験で問われる観点
- 共通の価値原則の内容
- AI事業者ガイドラインはソフトロー、主体別
- ハードローとソフトローのメリット・デメリット
- リスクベースアプローチとEU AI法の4段階