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プライバシー(収集段階と推論段階の問題、プライバシー・バイ・デザイン、カメラ画像利活用ガイドブック)

第10章 AI倫理・AIガバナンス / 節 2

シラバスのキーワード: プライバシー・バイ・デザインカメラ画像利活用ガイドブック

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問題の所在

プライバシーは、私生活をみだりに公開されない権利や、自分の情報をコントロールする権利として理解されます。AIは大量のデータを扱い、個人に関する推定を行うため、個人情報保護法を守るだけでなくプライバシーへの配慮が求められます。

収集段階と推論段階

適法に集めたデータからでも、推論によって新たにセンシティブな情報が生み出されるため、推論結果の扱いも設計する必要があります。

プライバシー・バイ・デザイン

システムの企画・設計の段階からプライバシー保護を組み込む考え方です。事後的な対処ではなく、データの最小化、目的の限定、デフォルトでの保護、透明性などを最初から設計に反映します。

カメラ画像利活用ガイドブック

IoT推進コンソーシアムと総務省・経済産業省が公表したもので、店舗などでカメラ画像を利用する事業者向けに、撮影していることの告知、利用目的の明示、取得する情報の最小化、画像を保存せず特徴量だけを扱う、問い合わせ窓口の設置などの配慮事項を示しています。顔の特徴データは個人識別符号にあたるため個人情報として扱います。

試験で問われる観点

この節の練習問題(3問)

答えを見る前に選んでから開いてください。同じ問題は章別演習でランダム出題されます。

  1. 問1
    プライバシーに関する記述として、最も適切なものを選びなさい。
    1. 1カメラ画像利活用ガイドブックでは、公共の場で撮影した画像は本人への事前告知なしにAIの学習や個人の追跡に利用してよいとされており、プライバシー・バイ・デザインの考え方もデータの収集段階には適用されない
    2. 2プライバシーの問題はデータの収集段階でのみ生じ、学習済みモデルの推論段階では生じないため、カメラ画像を利用するAIでは、撮影時の告知さえ行えば、推論結果の保存や第三者提供について追加の配慮は求められない
    3. 3プライバシー・バイ・デザインは、システムの企画・設計段階からプライバシー保護を組み込む考え方であり、カメラ画像を利用するAIでは、撮影の事前告知や、目的達成後の速やかな元画像の削除など、カメラ画像利活用ガイドブックに沿った配慮が求められる
    4. 4プライバシー・バイ・デザインは、システムの運用開始後に問題が発生してから対策を追加する考え方であり、カメラ画像を利用するAIでは、目的達成後も元画像を保存し続けて、後から苦情があった場合に検証できるようにしておく配慮が求められる
    答えと解説

    正解: 3

    プライバシー・バイ・デザインは後付けではなく設計段階から保護を組み込む原則で、GDPRにも取り入れられています。AIではデータ収集段階(撮影や取得の適法性・告知)と推論段階(属性の推定や特定の個人の追跡)の両方でプライバシーの問題が起こりえます。経済産業省・総務省などの「カメラ画像利活用ガイドブック」は、店舗などでカメラ画像をAIに使う際の告知、利用目的の限定、画像の保存期間などの配慮事項を示しています。

  2. 問2
    AIにおけるプライバシーの問題が「データ収集段階」と「推論段階」で区別される理由の説明として、最も適切なものを選びなさい。
    1. 1収集段階のプライバシー問題は個人情報保護法によって同意の取得が義務付けられているため既に解決しており、推論段階では学習済みモデルが個人情報を保持しないので、法律の適用範囲を明確にするために区別されているため
    2. 2収集段階では個人情報を匿名化すれば問題が生じないのに対し、推論段階ではAIが学習データに含まれる個人情報をそのまま出力してしまうことが問題であり、匿名化の有無で法律上の責任の所在が異なるため
    3. 3収集段階では本人の同意なく個人情報を集めることが問題になるのに対し、推論段階では本人が提供していない情報(性的指向、健康状態、妊娠の可能性など)をAIが購買履歴などから推定してしまうことが問題になるため
    4. 4収集段階では本人が提供していない情報(性的指向、健康状態、妊娠の可能性など)をAIが推定してしまうことが問題になるのに対し、推論段階では本人の同意なく購買履歴などの個人情報を集めることが問題になるため
    答えと解説

    正解: 3

    AIは本人が開示していない属性を他のデータから高い精度で推定できるため、適法に集めたデータからでも、推論によって新たにセンシティブな情報を生み出してしまうことがあります。小売店が購買履歴から妊娠を推定して広告を送った事例が知られています。収集時の同意だけでなく、推論結果の扱いも含めたプライバシー・バイ・デザインの考え方が必要です。

  3. 問3
    店舗にAIカメラを設置し、来店客の年代や店内の動線を分析したい。カメラ画像利活用ガイドブックに照らした配慮として最も適切なものを選びなさい。
    1. 1顔の特徴データは個人情報にあたらないため、撮影の告知は不要とする
    2. 2撮影を告知して目的を明示し、画像は保存せず特徴量だけを扱う
    3. 3分析精度を上げるため、目的に関係のない情報も最大限取得する
    4. 4取得した顔画像は、後で別の用途に使えるよう期限なく保存する
    答えと解説

    正解: 2

    カメラ画像利活用ガイドブックは、撮影していることの告知、利用目的の明示、取得する情報の最小化、画像を保存せず特徴量だけを扱うことなどを配慮事項として示しています。顔の特徴データは個人識別符号にあたるため個人情報として扱う必要があります。目的外の情報の取得や期限のない保存は、最小化と目的の限定に反します。