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不正競争防止法(営業秘密の三要件、限定提供データ)

第9章 AIに関する法律と契約 / 節 4

シラバスのキーワード: 営業秘密限定提供データ

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位置づけ

不正競争防止法は、営業秘密の不正取得や使用、他人の商品の形態の模倣などの不正競争行為を規制する法律です。特許のように権利を登録するのではなく、秘密として管理されている情報を不正に取得・使用・開示する行為を禁じることで保護します。

営業秘密の三要件

要件 内容
秘密管理性 秘密として管理されていること(アクセス制限、秘密表示、社内規程など)
有用性 事業活動に有用な技術上・営業上の情報であること
非公知性 公然と知られていないこと

学習データ、学習済みモデル、パラメータ、ノウハウを営業秘密として守るには、これらの要件を満たす管理が必要です。管理が不十分だと保護を受けられません。

限定提供データ

営業秘密として秘密にするのではなく、会員限定など一定の条件で相手を限定して提供するデータ(気象データ、地図データ、機械の稼働データなど)を保護するために、2018年の改正で設けられた制度です。「業として特定の者に提供する」「電磁的方法により相当量蓄積・管理されている」「秘密として管理されていない」ことが要件で、不正取得・使用・開示が不正競争行為になります。データを共有しながら価値を生むAI・データ利活用を促す趣旨です。

試験で問われる観点

この節の練習問題(3問)

答えを見る前に選んでから開いてください。同じ問題は章別演習でランダム出題されます。

  1. 問1
    不正競争防止法で保護される「営業秘密」と「限定提供データ」に関する記述として最も適切なものを選びなさい。
    1. 1営業秘密は特許庁に登録することで保護される情報で、限定提供データは個人の氏名・住所などを含む名簿を指し、いずれも登録から20年間、第三者による取得・使用を差し止めることができる制度である
    2. 2営業秘密は秘密管理性・有用性・非公知性の3要件を満たす情報で、限定提供データは秘密として管理されていないが、業として特定の者に提供される相当量の電子データを不正な取得・使用から保護する制度である
    3. 3営業秘密は公開済みの情報でも秘密として管理していれば保護される情報で、限定提供データは紙の資料など電子化されていない相当量の情報を指し、業として提供されるものは営業秘密として扱われない制度である
    4. 4営業秘密は秘密として管理されていなくても有用性と非公知性を満たせば保護される情報で、限定提供データは秘密管理性・有用性・非公知性の3要件を満たし、特定の者にのみ提供される電子データを保護する制度である
    答えと解説

    正解: 2

    営業秘密の保護には、アクセス制限などで秘密として管理していること、事業に有用であること、公然と知られていないことの3要件が必要で、生成AIサービスに入力して外部に渡すと秘密管理性を失うおそれがあります。限定提供データは2018年改正で導入され、会員限定の地図データや機械の稼働データのように、秘密ではないが限定的に提供されるビッグデータを保護します。どちらも登録は不要です。

  2. 問2
    不正競争防止法で「営業秘密」として保護されるための3つの要件の組み合わせとして正しいものを選びなさい。
    1. 1新規性、進歩性、産業上の利用可能性
    2. 2創作性、独自性、公表性
    3. 3匿名性、可搬性、完全性
    4. 4秘密管理性、有用性、非公知性
    答えと解説

    正解: 4

    営業秘密は、秘密として管理されていること(秘密管理性)、事業活動に有用な技術上・営業上の情報であること(有用性)、公然と知られていないこと(非公知性)の3要件を満たす必要があります。新規性・進歩性・産業上の利用可能性は特許の要件、創作性は著作物の要件です。学習済みモデルやデータセットを営業秘密として守るには、アクセス制限や秘密表示などの管理が必要です。

  3. 問3
    気象会社が、蓄積した観測データを契約した会員企業にだけ有償でオンライン提供している。データは秘密として管理していない。不正競争防止法上の位置づけとして最も適切なものを選びなさい。
    1. 1秘密管理性を満たすため、営業秘密として保護される
    2. 2限定提供データとして保護の対象になりうる
    3. 3特許出願をしない限り、法的な保護は受けられない
    4. 4会員に提供済みのため、不正取得されても保護されない
    答えと解説

    正解: 2

    限定提供データは、業として特定の者に提供し、電磁的方法で相当量蓄積・管理され、秘密として管理されていないデータを保護する制度で、会員向けの気象データはその典型です。秘密として管理していないため秘密管理性を欠き、営業秘密にはあたりません。特許出願がなくても不正競争防止法で保護され、不正取得・使用・開示は不正競争行為になります。