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機械学習の台頭(ルールベースとの違い、ビッグデータ、次元の呪い)

第2章 人工知能をめぐる動向 / 節 3

シラバスのキーワード: 機械学習ルールベースビッグデータ統計的自然言語処理スパムフィルタレコメンデーションエンジン次元の呪い

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機械学習とは

人がルールを書く代わりに、データから規則性やパターンを自動で学習する手法の総称です。ルールベース手法は判断の根拠が明確ですが、複雑な問題ではルールが膨大になり網羅できません。機械学習はルールを書く必要がなく複雑な判断に対応できる一方、十分な量のデータが必要で、モデルによっては判断根拠がブラックボックスになります。

機械学習が効果を発揮するのは、判断基準を明示的に書き切れず、かつ大量のデータがある場面です。税額計算のように式が明確な処理にはルールベースが適しています。

注目された背景

1990年代後半以降、インターネットの普及で大量のデータ(ビッグデータ)が利用可能になり、計算機の性能も向上したことで機械学習が実用化しました。自然言語処理では、人が文法ルールを書くルールベース機械翻訳から、対訳コーパスの統計を使う統計的自然言語処理・統計的機械翻訳へ主流が移りました。

応用例

次元の呪い

特徴量の次元(変数の数)が増えるほどデータ空間が疎になり、同じ精度を得るために必要なデータ量が指数的に増える問題です。対策として、主成分分析などの次元削減や特徴選択が使われます。

試験で問われる観点

この節の練習問題(7問)

答えを見る前に選んでから開いてください。同じ問題は章別演習でランダム出題されます。

  1. 問1
    特徴量の次元(変数の数)が増えるほど、データ空間が疎になり、同じ精度を得るために必要なデータ量が指数的に増えてしまう問題を( )という。括弧に入る語として最も適切なものを選びなさい。
    1. 1フレーム問題
    2. 2コールドスタート問題
    3. 3知識獲得のボトルネック
    4. 4次元の呪い
    答えと解説

    正解: 4

    次元の呪いは、数学者ベルマンが名付けた概念で、次元が増えると空間の体積が急激に大きくなり、データがまばらになって学習や距離計算が難しくなる現象です。主成分分析などの次元削減が対策になります。フレーム問題は考慮すべき範囲の選択、コールドスタート問題は推薦システムで新規ユーザーや新商品の情報がない問題、知識獲得のボトルネックはエキスパートシステムの限界を指します。

  2. 問2
    機械学習が広く使われるようになった背景と応用例に関する記述として、最も適切なものを選びなさい。
    1. 1インターネットの普及で大量のデータ(ビッグデータ)が蓄積され、スパムフィルタやレコメンデーションエンジンなど、データからパターンを学ぶ応用が実用化した
    2. 2専門家の知識をif-thenルールとして網羅的に記述できるようになり、スパムフィルタやレコメンデーションエンジンなど、ルールに従って判断する応用が実用化した
    3. 3計算機の性能向上によりデータ量が少なくても高精度を得られるようになり、機械翻訳や音声認識など、少数のサンプルから規則を推論する応用が普及した
    4. 4インターネットの普及で蓄積されたデータは画像が中心であったため、機械学習は画像認識に限定して実用化し、スパムフィルタなどの文章処理には統計的手法は用いられなかった
    答えと解説

    正解: 1

    機械学習はデータからルールやパターンを自動的に学ぶ手法で、Webの普及によるビッグデータの蓄積を背景に、迷惑メールを判定するスパムフィルタ、購買履歴から商品を薦めるレコメンデーションエンジン、大量のテキストから確率的に言語を扱う統計的自然言語処理などで実用化しました。ルールをすべて書けるようになったわけではなく、データが少ないほど精度が上がることも、画像にしか使えないこともありません。

  3. 問3
    ルールベース手法と比較した機械学習のメリットとデメリットの説明として、最も適切なものを選びなさい。
    1. 1機械学習は判断の根拠を人が読める規則として出力できる一方で、ルールベースは大量のデータがなければ動作せず、判断の根拠がブラックボックスになりやすい
    2. 2機械学習はデータを用意せずにルールだけで動作するため導入が容易である一方で、複雑な判断はルールベースでしか獲得できず、処理速度も遅くなりやすい
    3. 3機械学習はルールを人が書く必要がなく、複雑な判断もデータから獲得できる一方で、学習に十分な量のデータが必要で、判断の根拠が分かりにくい
    4. 4機械学習はルールを人が書く必要がなく、少量のデータでも複雑な判断を獲得できる一方で、ルールベースに比べて判断の根拠が明確に説明できるようになる
    答えと解説

    正解: 3

    ルールベース手法は人がif-thenのルールを書くため、判断の根拠は明確ですが、複雑な問題ではルールが膨大になり網羅できません。機械学習はデータから規則性を自動で獲得するのでルールを書く必要がなく、複雑な判断にも対応できますが、十分なデータが必要で、モデルによっては根拠がブラックボックスになります。少量データで常に高精度、データ不要という記述は誤りです。

  4. 問4
    1990年代以降に機械学習が実用的な成果を上げるようになった背景と、自然言語処理における変化の説明として最も適切なものを選びなさい。
    1. 1機械学習は1950年代のパーセプトロンの時点で既に実用化されており、自然言語処理でも当時から統計的手法が主流であったため、1990年代に特に大きな変化はなかった
    2. 2インターネットの普及で大量のテキストデータが得られるようになったが、自然言語処理では対訳データの統計を使う方法から、文法ルールを人が詳細に記述する方法へ回帰した
    3. 3コンピュータの性能向上や大量データの入手は機械学習の実用化とは関係がなく、1990年代には文法規則の整備が進み、人手で書いたルールによる翻訳の精度が飛躍的に向上した
    4. 4インターネットの普及で大量のテキストデータが得られるようになり、文法ルールを人が書く方法から、対訳データの統計から翻訳を学ぶ統計的自然言語処理へ移行した
    答えと解説

    正解: 4

    1990年代後半からインターネットの普及によってビッグデータが利用可能になり、計算機の性能向上と相まって機械学習が実用化しました。自然言語処理でも、人が文法ルールを書くルールベース機械翻訳から、対訳コーパスの統計を用いる統計的機械翻訳・統計的自然言語処理へと主流が移り、その後ニューラル機械翻訳へ発展しました。

  5. 問5
    次の業務のうち、ルールベースではなく機械学習を適用する効果が最も大きいと考えられるものを選びなさい。
    1. 1日々変化する手口の迷惑メールを、文面の特徴から自動で判定する処理
    2. 2会員の生年月日から年齢を計算して会員区分を決める処理
    3. 3消費税率を売上に掛けて税額を計算する処理
    4. 4社員の勤務時間が法定上限を超えたら警告を出す処理
    答えと解説

    正解: 1

    機械学習が効果を発揮するのは、判断基準を明示的なルールとして書き切れず、しかも大量のデータがある場面です。迷惑メールは送信者が手口を変え続けるため固定ルールでは追いつかず、文面の特徴を学習するスパムフィルタが有効です。税額計算、勤務時間の上限チェック、年齢からの区分判定は計算式やルールが明確で、ルールベースで確実に処理できます。

  6. 問6
    機械学習の特徴や適用場面に関する記述として、不適切なものを選びなさい。
    1. 1手口が変わり続ける迷惑メールの判定は、固定ルールより機械学習が向く
    2. 2税額計算のように計算式が明確な処理ほど、機械学習を使う効果が大きい
    3. 3次元の呪いへの対策として、主成分分析などの次元削減が使われる
    4. 4機械学習では、モデルによって判断の根拠がブラックボックスになりやすい
    答えと解説

    正解: 2

    税額計算のように式が明確な処理はルールベースが適しており、機械学習が効果を発揮するのは判断基準を書き切れず大量のデータがある場面です。迷惑メールの判定、次元削減による次元の呪いへの対策、判断根拠のブラックボックス化はいずれも正しい記述です。

  7. 問7
    製造ラインの分析で、1件あたり数千個のセンサー値を特徴量にしたところ、データ数に対して次元が多すぎて精度が上がらない。対応として最も適切なものを選びなさい。
    1. 1主成分分析などで特徴量の次元を削減する
    2. 2センサー値をさらに追加して情報を増やす
    3. 3データ件数を減らして学習時間を短くする
    4. 4数千個の変数の判断基準をすべてルール化する
    答えと解説

    正解: 1

    特徴量の次元が増えるほどデータ空間が疎になり、必要なデータ量が指数的に増える次元の呪いが起きており、主成分分析などの次元削減や特徴選択が対策になります。特徴量を追加すると次元がさらに増えて悪化し、データ件数を減らすと空間はより疎になります。数千の変数の関係を人がルールとして書き切るのは現実的ではありません。