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その他の重要な価値(軍事利用、人間の自律性、インクルージョン、死者への敬意)

第10章 AI倫理・AIガバナンス / 節 10

シラバスのキーワード: 軍事利用人間の自律性インクルージョン死者への敬意

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軍事利用

人間の判断を介さずに標的を選んで攻撃する自律型致死兵器システム(LAWS)の是非が国際的に議論されています。責任の所在が不明確になること、誤認識による民間人の被害、軍拡競争の加速が懸念され、国連の場で規制の枠組みが検討されています。民生技術が軍事転用されるデュアルユースの問題もあり、研究者や企業がAIの軍事利用に関する方針を表明する動きがあります。

人間の自律性

AIによる推薦や誘導が人の意思決定に影響し、自分で考えて選ぶ自由(自律性)が損なわれる問題です。利用者を意図しない選択に誘導するダークパターン、依存を促す設計、過度なパーソナライズが例です。人間の自律性とは人間が自ら判断する自由を指し、AIが自律的に動作することではありません。

インクルージョン

AIの恩恵から特定の人々が取り残されないようにする考え方です。障害者、高齢者、少数言語の話者、デジタル機器に不慣れな人などに配慮した設計、学習データに多様な人々を含めること、AIの開発チームの多様性(ダイバーシティ)が求められます。

死者への敬意

故人の音声、画像、文章からAIで人格や声を再現する技術が現実になり、遺族の慰めになる一方で、本人の意思の確認ができないこと、故人のデータの権利、悪用(故人の声による詐欺)などの倫理的な問題が議論されています。

試験で問われる観点

この節の練習問題(3問)

答えを見る前に選んでから開いてください。同じ問題は章別演習でランダム出題されます。

  1. 問1
    AI倫理で議論される「その他の重要な価値」に関する記述として、最も適切なものを選びなさい。
    1. 1自律型兵器の開発と軍事利用は国際条約により各国で既に法律で禁止されているため論点にはならず、インクルージョンや故人のデータからの人格再現についても倫理的な問題はないとされ、議論の対象から外れている
    2. 2人間の自律性とは、AIが人間の指示や監督を受けずに自律的に判断・行動する権利を指し、推薦や誘導によってAIの自律的な判断が人間に妨げられないようにすることが、AI倫理におけるその他の重要な価値として議論されている
    3. 3人間の判断を介さずに攻撃を行う自律型兵器の是非、推薦や誘導によって人の意思決定の自律性が損なわれる問題、障害者や少数者を排除しないインクルージョン、故人のデータからAIで人格を再現することの是非などが論点になっている
    4. 4AI倫理で扱う価値は公平性とプライバシーの2つに限定されており、自律型兵器の是非、推薦による意思決定の自律性の侵害、障害者や少数者を排除しないインクルージョンといった問題は、AI倫理ではなく各国の刑法の問題として扱われる
    答えと解説

    正解: 3

    AI倫理の論点は公平性やプライバシーにとどまらず、自律型致死兵器(LAWS)をめぐる軍事利用の議論、ダークパターンや過度な推薦による人間の自律性の侵害、多様な人々を包摂するインクルージョン、故人の音声や画像の再現に関する死者への敬意など多岐にわたります。人間の自律性はAIではなく人間が自ら判断する自由を指します。

  2. 問2
    画像認識や自律制御のように民生用に開発されたAI技術が、兵器などの軍事目的に転用されうる問題を指す用語として、最も適切なものを選びなさい。
    1. 1デュアルユース
    2. 2ダークパターン
    3. 3インクルージョン
    4. 4エコーチェンバー
    答えと解説

    正解: 1

    民生技術が軍事に転用されうる問題はデュアルユースと呼ばれ、研究者や企業がAIの軍事利用に関する方針を表明する動きにつながっています。ダークパターンは利用者を意図しない選択に誘導する設計、インクルージョンはAIの恩恵から特定の人々が取り残されないようにする考え方です。エコーチェンバーは同じ意見の人同士で意見が増幅される状態を指します。

  3. 問3
    AI倫理で議論される「その他の重要な価値」に関する記述として、誤っているものを選びなさい。
    1. 1自律型致死兵器システム(LAWS)は、責任の所在が不明確になることが懸念される
    2. 2利用者を意図しない選択に誘導するダークパターンは、人間の自律性を損なう例である
    3. 3インクルージョンの観点では、学習データは多数派の利用者に絞るほうが望ましい
    4. 4故人の声をAIで再現する技術では、本人の意思を確認できないことが論点になる
    答えと解説

    正解: 3

    インクルージョンは、障害者や高齢者、少数言語の話者などがAIの恩恵から取り残されないようにする考え方で、学習データに多様な人々を含めることが求められます。多数派に絞るのはその逆です。LAWSで責任の所在が不明確になる懸念、ダークパターンが人間の自律性を損なうこと、故人の再現で本人の意思を確認できないことは、いずれも正しい記述です。