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労働政策(AIとの協働、スキルの喪失、労働力不足、リスキリング)

第10章 AI倫理・AIガバナンス / 節 9

シラバスのキーワード: AIとの協働スキルの喪失労働力不足

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雇用への影響

AIは職業を丸ごと置き換えるより、職業を構成するタスクの一部を代替・補完することが多いとされます。定型的な事務処理、文書作成、画像の検査などは代替されやすい一方、AIを活用する新しい仕事や、AIの監督・評価を行う仕事も生まれます。影響は職種や産業によって大きく異なり、雇用の減少と創出の両面で議論されています。

労働力不足への対応

少子高齢化による労働力不足に対し、AIによる省力化や、経験の浅い労働者の支援(熟練者の判断の補助)が期待されています。

スキルの喪失

人がAIの判断に頼りきることで、自分で判断する力や技能が失われる問題です。自動運転で運転技能が衰える、AIの診断に頼って医師の読影力が低下するなどが懸念されます。AIの出力を鵜呑みにせず検証する姿勢と、重要な判断に人間が関与する仕組みが対策になります。

AIとの協働とリスキリング

AIを使いこなすためのリスキリング(学び直し)、AIと人の役割分担の設計、AIの導入に伴う労働条件の変化への配慮、影響を受ける労働者への支援が労働政策上の論点です。

試験で問われる観点

この節の練習問題(3問)

答えを見る前に選んでから開いてください。同じ問題は章別演習でランダム出題されます。

  1. 問1
    AIが雇用に与える影響に関する記述として、最も適切なものを選びなさい。
    1. 1AIに代替されるのは高度な専門知識を要する業務に限られ、定型的な業務は代替されないため、専門職の再教育だけが論点となり、一般職のリスキリングは必要とされない
    2. 2定型的な業務はAIに代替される一方で新しい仕事も生まれるため、AIと協働するためのリスキリングや、AIへの依存で人のスキルが失われることへの対策が論点になる
    3. 3AIの導入で新しい仕事は生まれず既存の仕事が減る一方であるため、雇用対策としてはAI導入に課税し導入台数を規制することが国際的な標準的手法とされている
    4. 4AIと協働する業務では人のスキルは自然に向上するため、依存によるスキル喪失は生じず、リスキリングよりも労働時間の短縮を法制化することが主な論点になる
    答えと解説

    正解: 2

    AIは職業を丸ごと置き換えるより、職業を構成するタスクの一部を代替・補完することが多いとされます。労働力不足を補う期待がある一方、人がAIの判断に頼りきることで判断力や技能が失われるスキルの喪失も懸念されています。労働者のリスキリングや、AIと人の役割分担の設計が政策上の論点です。

  2. 問2
    病院でAIによる画像診断支援を導入したところ、若手医師がAIの判定に頼りきり、自分で読影する力が育たないことが懸念された。対応として最も適切なものを選びなさい。
    1. 1AIの判定精度は高いため、医師の確認を省いて業務を自動化する
    2. 2懸念を避けるため、AIの診断支援を廃止して従来の運用に戻す
    3. 3AIの出力を検証する手順を残し、最終判断に医師が関与させる
    4. 4読影力の低下はAIの問題なので、ベンダーに医師の教育を任せる
    答えと解説

    正解: 3

    人がAIの判断に頼りきることで技能が失われるスキルの喪失には、AIの出力を鵜呑みにせず検証する姿勢と、重要な判断に人間が関与する仕組みが対策になります。確認を省いて自動化すると依存がさらに強まり、全面的な廃止はAIによる支援の利点を失います。技能の維持は組織の運用設計の問題で、ベンダーに任せて解決するものではありません。

  3. 問3
    AIの導入で業務の内容が変わる従業員が、AIを使いこなすために新たな知識や技能を学び直すことを何というか。最も適切なものを選びなさい。
    1. 1BPR
    2. 2オープン・イノベーション
    3. 3リスキリング
    4. 4インクルージョン
    答えと解説

    正解: 3

    AIを使いこなすための学び直しをリスキリングといい、AIとの協働や役割分担の設計とともに労働政策上の論点になっています。BPRは業務プロセスの再設計、オープン・イノベーションは外部の技術やアイデアを取り込むことです。インクルージョンはAIの恩恵から特定の人々が取り残されないようにする考え方です。