製造業M社の社内問い合わせAIエージェント
人事・総務への問い合わせ対応を題材に、知識の整備、機密情報の扱い、現場の受け入れ、効果の説明まで / 目安 35分・10問 / 公開 2026-10-02
本番の試験と同じ「1つのケース本文に10問」の形式です。本文と表1〜3を読んでから答えてください。各問の頭に「何を判断する問題か」を示しています。一般論として正しい選択肢ではなく、本文の条件に合う選択肢を選ぶ練習です。目安は35分です。
ケース本文
M社は、産業用ポンプを製造する従業員約1,800名のメーカーで、本社のほかに3つの工場と6つの営業所を持つ。人事総務部には、社員から就業規則、各種手当、休暇、通勤費、社宅、健康診断、社内システムの申請手続きなどに関する問い合わせが、電話とメールと社内チャットで月に約2,200件届く。担当者7名が対応しており、1件あたりの平均対応時間は12分である。問い合わせの約7割は「どこに何が書いてあるか」「どの申請書を使うか」といった、社内規程や手続き案内を読めば分かる内容である。
社内規程と手続き案内は社内ポータルに掲載されているが、規程は改定のたびに差し替えられ、古い版が別のフォルダに残っていることがある。手続き案内は部署ごとに作られた文書が混在し、同じ手続きで記載が食い違うものもある。人事総務部は、月末と年度初めに問い合わせが集中し、回答が翌日以降になることが増えている。工場の交替勤務者からは「夜間や休日に聞ける窓口がない」という声がある。
各部門の役割は次のとおりである。人事総務部は、規程と手続き案内の作成・改定、問い合わせへの回答、個別の相談(評価、異動、ハラスメント、病気休職など)への対応を担う。情報システム部は、社内ポータル、社内チャット、人事システムの管理と、外部サービスとの接続を担当する。各工場と営業所の総務担当者は、現場からの問い合わせの一次窓口となり、分からないものを人事総務部に取り次ぐ。経営企画部は、AI導入のPoCの設計と効果検証を担当する。労働組合は、就業条件に関わる制度変更について説明を受ける立場にある。
Discovery(課題と導入候補を見つける段階)では、経営企画部が、人事総務部の問い合わせ対応のほかに、採用応募者への一次連絡、給与計算の確認作業、社内研修の教材作成を候補に挙げ、件数、現行の工数、利用できるデータ、人の判断が必要な箇所を比較した(表1)。現場への聞き取りでは、人事総務部の担当者は「同じ質問に何度も答えている。規程のどこを見ればよいかを示すだけでも減る」と答え、工場の総務担当者は「取り次いだ後に回答が来るまで現場を待たせている」と答えた。
Definition(目的・対象範囲・条件を定める段階)では、初回PoCの目的を「規程・手続きに関する問い合わせへの一次回答の時間短縮と、人事総務部の対応件数の削減」とし、対象、AIエージェントの権限、人の役割、提案を止める条件を表2のように定めた。AIエージェントは、社内チャットで質問を受け、最新版の規程と手続き案内から該当箇所を検索し、回答案と出典(文書名と該当項目)を社員に表示する。評価や異動、ハラスメント、病気休職など個別の事情に関わる相談は回答せず、人事総務部の担当者への取り次ぎを案内する。社員の個人情報(給与、評価、健康情報)には接続しない。
情報システム部からは、社内ポータルの文書には最新版と古い版の区別がシステム上なく、文書ごとに人事総務部が確認する必要があることが報告された。経営企画部は、PoCの評価指標と目標値を表3のように設定し、8週間の検証後に全社へ広げるかを判断する方針である。PoCの費用は、AIエージェントの利用料と情報システム部の接続作業を合わせて8週間で約150万円と見積もられている。労働組合からは、問い合わせの内容が人事評価に使われないことを明確にしてほしいという要望が出ている。
| 候補業務 | 月間件数 | 現行工数 | 主な課題 | 利用可能データ | 初回PoCでの懸念 |
|---|---|---|---|---|---|
| 規程・手続きに関する社内問い合わせ対応 | 約2,200件 | 12分/件 | 同じ質問の繰り返し、月末の集中、夜間・休日の窓口がない | 社内規程、手続き案内、過去の問い合わせ記録 | 規程の最新版と古い版が混在。部署ごとの案内で記載が食い違う |
| 採用応募者への一次連絡 | 約300件 | 10分/件 | 連絡の遅れで辞退が出る | 応募者情報、選考スケジュール | 応募者の個人情報を外部サービスに渡す必要がある |
| 給与計算の確認作業 | 約1,800件 | 5分/件 | 手当の適用ミスの発見が遅い | 勤怠データ、給与データ | 給与・個人情報に直接触れる。誤りの影響が大きい |
| 社内研修の教材作成 | 約20件 | 480分/件 | 担当者の経験に依存 | 既存教材、規程 | 教材の品質を評価する基準が未整備 |
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 本社と第1工場の社員からの、規程・手続きに関する問い合わせ(社内チャット経由) |
| AIエージェントの権限 | 最新版と確認済みの規程・手続き案内からの回答案と出典の表示に限定。個人情報(給与、評価、健康情報)には接続しない |
| 人の役割 | 社員は回答案と出典を確認して手続きを進める。回答案で解決しない場合と個別相談は、人事総務部の担当者に取り次ぐ |
| 提案を止める条件 | 評価・異動・ハラスメント・病気休職など個別の事情に関わる相談、出典となる文書が確認済みの一覧にない質問、回答案の根拠が2つ以上の文書で食い違う場合 |
| 検証期間 | 8週間 |
| 指標 | 現状 | 目標 | 測り方 |
|---|---|---|---|
| 一次回答までの時間 | 平均5時間(夜間・休日は翌営業日) | 5分以内 | 社内チャットの受信から回答案の表示までの時間 |
| 人事総務部の対応件数(月間、対象範囲) | 約900件 | 500件以下 | 担当者が回答した件数を人事システムの記録から集計 |
| 回答案の解決率 | — | 70%以上 | 回答案の表示後に取り次ぎが発生しなかった割合 |
| 提案を止めた件数と理由 | — | 記録する | 停止条件ごとに件数を集計し、条件の過不足を見る |
| 社員の満足度 | — | 記録する | 回答案の表示後の「役に立った/立たなかった」の回答 |
設問
各問の選択肢A〜Dから、最も適切なものを1つ選んでください。答えを決めてから「答えと解説」を開きます。
- 問1最初の対象業務初回PoCの対象業務として、最も適切なものはどれか。表1の候補と、本文にある現場の聞き取りの内容を踏まえて選ぶこと。
- A給与計算の確認作業。件数が多く、手当の適用ミスという損失を直接減らせて、勤怠と給与のデータもそろっているため。
- B規程・手続きに関する社内問い合わせ対応。件数が最も多く、7割が文書で答えられ、データもあるため。
- C採用応募者への一次連絡。辞退の防止という効果が分かりやすく、件数が少ないので短期間で検証しやすいため。
- D社内研修の教材作成。1件あたりの工数が最も大きく、担当者の経験への依存を減らす効果が最も見込めるため。
答えと解説
正解: B
対象業務は、課題の大きさと、データがそろって人が最終判断できる範囲かで選びます。社内問い合わせは月約2,200件で最多、7割は規程や手続き案内を読めば分かる内容で、現場の聞き取りでも「どこを見ればよいかを示すだけでも減る」と出ています。給与計算は給与や個人情報に直接触れ、誤りの影響が大きいため初回には向きません。採用連絡は応募者の個人情報を外部に渡す問題があります。教材作成は品質を評価する基準が未整備で、効果を測れません。
- 問2役割分担AIエージェントが回答案を表示してから問い合わせが解決するまでの役割分担として、最も適切なものはどれか。表2の権限と、各部門の現在の役割を踏まえて選ぶこと。
- AAIエージェントが回答案と出典を示し、社員が確認して手続きを進め、解決しない場合と個別相談は人事総務部に取り次ぐ。
- BAIエージェントが回答案を示し、人事総務部の担当者が全件を確認してから社員に送るので、社員は回答を待つだけでよい。
- CAIエージェントが回答案を示し、各工場と営業所の総務担当者が内容を保証したうえで、現場の社員に伝えて手続きを進める。
- DAIエージェントが回答案を示し、解決しなかった場合は社員が自分で規程を調べ直し、人事総務部への取り次ぎは行わない。
答えと解説
正解: A
表2では、AIエージェントの権限を回答案と出典の表示に限定し、社員が確認して手続きを進め、解決しない場合と個別相談は人事総務部に取り次ぐと定めています。これが「一次回答の時間短縮」と「人事総務部の対応件数の削減」という目的に合う分担です。人事総務部が全件を確認する案は、対応件数が減らず、夜間・休日の一次回答も実現しません。工場の総務担当者に内容の保証をさせるのは、一次窓口という現在の役割を超えています。取り次ぎをなくす案は、個別相談への対応という人事総務部の役割を社員に押し付けることになります。
- 問3提案を止める条件対象の社員からの問い合わせのうち、AIエージェントが回答案を出さずに人事総務部への取り次ぎを案内すべきものはどれか。表2の「提案を止める条件」に該当するものを選ぶこと。
- A「通勤経路を変更したときに使う申請書はどれか」という質問。
- B「上司の指示が業務の範囲を超えていると感じる。相談したい」という質問。
- C「社宅の入居条件はどの規程のどこに書いてあるか」という質問。
- D「今年度の健康診断の受診期限はいつまでか」という質問。
答えと解説
正解: B
表2の停止条件は、個別の事情に関わる相談(評価・異動・ハラスメント・病気休職など)、出典が確認済みの一覧にない質問、根拠が食い違う場合の3つです。上司の指示に関する相談は、ハラスメントに当たる可能性のある個別の事情で、規程の該当箇所を示して済む問い合わせではありません。回答案を出さず、担当者への取り次ぎを案内します。通勤経路の申請書、社宅の入居条件、健康診断の期限は、いずれも手続き案内や規程に記載がある内容で、AIエージェントが出典とともに回答案を出せる範囲です。
- 問4データの準備情報システム部は、社内ポータルの文書に最新版と古い版の区別がないと報告した。PoCの開始までに行う準備として最も適切なものはどれか。
- A社内ポータルの文書をすべてそのまま接続し、AIエージェントが更新日の新しい文書を優先するよう設定して始める。
- B人事総務部が対象範囲の規程と手続き案内の最新版を確認し、確認済みの一覧を作って、その文書だけを接続する。
- C文書の整理は時間がかかるので、PoCでは過去の問い合わせ記録の回答文だけを接続し、規程と手続き案内は接続しない。
- D各工場と営業所の総務担当者に、自部署で使っている案内文書を集めてもらい、集まったものをすべて接続する。
答えと解説
正解: B
AIエージェントの回答案の根拠になるのは、接続した文書です。古い版や部署ごとに食い違う案内が混ざったまま接続すると、誤った回答案が出て、停止条件の「根拠が食い違う」にも頻繁に当たります。表2では権限を「最新版と確認済みの規程・手続き案内からの回答」に限定しているので、人事総務部が確認済みの一覧を作り、その文書だけを接続するのが前提になります。日付で優先する案は、改定のたびに差し替えられる運用では最新版の判定になりません。問い合わせ記録の回答文だけでは、規程が改定されたときに古い回答を繰り返します。部署ごとの案内を集めて全部接続する案は、記載の食い違いをそのまま持ち込みます。
- 問5機密情報の扱い表2では、AIエージェントを社員の個人情報(給与、評価、健康情報)に接続しないとしている。この方針の説明として最も適切なものはどれか。
- A個人情報に接続すると回答案の精度が下がるため、精度が安定するまでの間だけ接続を見送る技術的な判断である。
- B対象の問い合わせは規程と手続きの案内で足りるため、目的に必要のない情報には接続せず、漏えいや誤用のリスクを範囲から外す判断である。
- C労働組合の要望に応えるための一時的な措置で、組合の了承が得られた時点で個人情報にも接続する前提の判断である。
- D情報システム部の接続作業を減らして費用を抑えるための判断で、効果が確認できれば次のPoCで個人情報にも接続する。
答えと解説
正解: B
AIエージェントに渡す情報は、目的に必要な範囲に限るのが基本です。今回の目的は規程・手続きに関する問い合わせの一次回答なので、給与や評価、健康情報は回答に必要ありません。必要のない情報に接続しなければ、漏えいや誤用のリスクをそもそも範囲から外せます。精度の問題や費用の問題ではなく、目的と権限の範囲を一致させる判断です。労働組合の要望は「問い合わせ内容を人事評価に使わない」ことで、個人情報への接続の可否とは別の論点です。効果が出たら接続するという前提も、本文にはありません。
- 問6現場の受け入れ労働組合から、問い合わせの内容が人事評価に使われないことを明確にしてほしいという要望が出ている。PoCの開始にあたっての対応として最も適切なものはどれか。
- A問い合わせ内容は人事評価に使わず、記録の用途は回答の改善と効果検証に限ることを文書で示し、労働組合に説明して社員に周知する。
- BAIエージェントは評価に関する相談を扱わない設計なので要望には該当しないと回答し、説明の場は設けずにPoCを開始する。
- C要望を受けて問い合わせの記録を一切残さない設計に変更し、効果検証は回答案の表示後の満足度の回答だけで行う。
- D労働組合の了承が得られるまでPoCを延期し、了承が得られた時点で対象範囲を本社と第1工場から全社に広げて開始する。
答えと解説
正解: A
新しい仕組みを現場に受け入れてもらうには、不安の中身に対して、何をして何をしないかを具体的に示すことが必要です。問い合わせの内容を人事評価に使わないこと、記録の用途を回答の改善と効果検証に限ることを文書にして労働組合に説明し、社員にも周知すれば、要望に直接応えられます。「設計上扱わないから該当しない」という回答は、不安に答えておらず、利用をためらわせます。記録を一切残さない案は、解決率や停止条件の集計ができなくなり、PoCの目的を損ないます。了承まで延期して全社に広げる案は、小さく試す方針と逆です。
- 問7誤りが起きたときの対応PoCの開始後、AIエージェントが古い版の規程を根拠に回答案を出し、社員が誤った手続きをしたことが分かった。この時の対応として最も適切なものはどれか。
- A出典をたどって古い版が接続された経路を特定し、確認済み一覧の運用を直したうえで、その文書に関する回答案を直るまで止める。
- B誤った回答案は社員が確認する前提なので、全社員に出典を必ず確認するよう注意を促し、仕組みそのものは変えずに続ける。
- C古い版が混ざるリスクは避けられないので、PoCをその時点で中止し、従来の電話とメールによる人事総務部の対応に戻す。
- D誤りが出た規程の分野を今後の対象から外し、残りの分野だけでPoCを続けて、検証後に外した分野の扱いを検討する。
答えと解説
正解: A
AIエージェントは回答案と出典を表示する設計なので、誤りが起きたときは出典をたどって原因を特定できます。原因が古い版の混入なら、確認済み一覧の運用(文書の差し替え時の手順)を直し、直るまでその文書に関する回答案を止めれば、PoCを続けながら再発を防げます。社員の確認に頼るだけでは、同じ原因で誤りが繰り返されます。1件の誤りで中止すると、原因も改善の余地も分からないまま終わります。分野ごと外す案は、原因を直さずに対象を狭めるだけで、横展開のときに同じ問題が出ます。
- 問8目標値の決め方表3では、人事総務部の対応件数の目標を「月500件以下」とした。この目標値の根拠として最も適切なものはどれか。
- A全社の問い合わせ約2,200件の約2割にあたる件数で、同業他社の導入事例で報告された削減率に合わせて設定したため。
- B対象範囲の現状が月約900件で、文書で答えられる約7割を一次回答に置き換えれば、残りは個別相談と取り次ぎになるため。
- C担当者7名のうち3名を他の業務に回す計画があり、残り4名で対応できる件数を1件12分の工数から逆算して設定したため。
- D回答案の解決率の目標70%をもとに、全社の約2,200件の30%にあたる件数を人事総務部に残る上限として設定したため。
答えと解説
正解: B
目標値は、現状の数字と、達成したときに何が変わるかを結びつけて決めます。対象範囲の現状は月約900件で、本文では問い合わせの約7割が規程や手続き案内を読めば分かる内容とあります。この7割を一次回答に置き換えられれば、人事総務部に残るのは個別相談と、回答案で解決しなかった取り次ぎになり、約500件という目標はそこから出てきます。他社事例の削減率や全社件数の2割は、対象範囲の現状と対応していません。人員を回す計画は本文にありません。解決率70%と全社の2,200件を掛ける計算は、対象範囲が本社と第1工場に限られている点を見落としています。
- 問9横展開の判断8週間の検証後、本社と第1工場以外へ広げるかを判断する際に、最も重視すべき観点はどれか。表3の指標と、本文の各拠点の状況を踏まえて選ぶこと。
- A目標の達成に加えて、提案を止めた件数と理由から、他の工場や営業所の問い合わせでも確認済みの文書で答えられるかを見る。
- B社員の満足度の回答で「役に立った」が多ければ、他の拠点でも同じ結果になるとみなして、全拠点に一斉に広げる。
- C回答案の解決率が70%を超えていれば、人事総務部の対応件数が減っていなくても効果ありと判断して全拠点に広げる。
- DPoCの費用約150万円を8週間の人件費の削減額で回収できたかどうかだけで判断し、回収できていなければ中止する。
答えと解説
正解: A
横展開の判断では、PoCの結果が目標に届いたかに加えて、その結果が他の条件でも再現するかを見ます。工場や営業所では、交替勤務や拠点ごとの手続きなど、本社とは問い合わせの内容が異なります。提案を止めた件数と理由(どの質問に確認済みの文書がなかったか)を見れば、他の拠点に広げる前にどの文書を整備すべきかが分かります。満足度は参考情報ですが、対応件数が減ったかを示しません。解決率が高くても対応件数が減っていなければ、取り次ぎが別の形で残っている可能性があります。費用の回収は8週間の検証では判断できず、横展開後の効果で見るものです。
- 問10費用対効果の見方経営企画部は、PoCの費用約150万円に対する効果を経営層に説明したい。本文の数字をもとにした説明として、最も適切なものはどれか。
- A対応件数が月900件から500件に減れば担当者7名を4名に減らせるので、3名分の年間の人件費をそのまま効果として示す。
- B対応件数の減少分に1件12分を掛けて空いた時間と、一次回答が平均5時間から数分になり夜間・休日も答えられることを合わせて示す。
- CPoCの費用は8週間では回収できないので効果の数字は示さず、次の投資判断の材料として有益だったとだけ経営層に説明する。
- DAIエージェントの利用料は今後下がる見込みなので費用は考慮に入れず、回答案の解決率と満足度だけを効果として示す。
答えと解説
正解: B
費用対効果は、本文にある数字(対象範囲の月約900件、1件あたり12分、一次回答まで平均5時間)と、PoCの目的(一次回答の時間短縮と対応件数の削減)に対応させて示します。対応件数の減少分に対応時間を掛ければ、人事総務部の時間がどれだけ空いたかを示せます。一次回答が数分になり、夜間や休日にも答えられるようになったことは、工場の交替勤務者の課題への直接の効果です。対応件数の減少を人員削減に直結させる説明は、本文に根拠がなく、労働組合の不安を強めて現場の協力を失います。効果を示さない説明や、費用を考慮しない説明は、評価指標と目標値を定めた意味を失わせます。
解き方の振り返り
- 本文の「各部門の役割」と表2の「人の役割」「停止条件」を先に線で引くと、問2・問3・問7の選択肢を消しやすくなります。
- 情報システム部の報告(最新版と古い版の区別がない)は、問4と問7の根拠です。データの準備は「誰が、どの範囲で、何を確認するか」まで答えられるようにしておきます。
- 機密情報と現場の受け入れ(問5・問6)は、このケースで新しく出た論点です。「目的に必要な範囲に限る」「不安の中身に具体的に答える」の2つを覚えておきます。
- 本文の数字(月約2,200件、7割、12分/件、対象範囲の約900件、平均5時間、費用約150万円)は、目標値と費用対効果の根拠になります。数字が出てきたら、どの判断に使うかを考えながら読みます。
このケースは当サイトのオリジナルです。公式サンプル問題や本番の問題を転載・改変したものではありません。形式は公式サンプル問題(2026年9月発行)と参考問題に準じています。