課題設定から始める
AIプロジェクトの失敗で多いのは、技術ありきで課題が曖昧なまま始めるケースです。まず解決すべきビジネス課題と経営層・現場・利用者などステークホルダーのニーズを明確にし、AIが本当に適した手段かを検討します。AIの導入は業務プロセスの再設計(BPR)とセットで考え、非効率な手順をそのまま自動化しないようにします。
プロセスモデル
CRISP-DMは「ビジネス理解 → データ理解 → データ準備 → モデリング → 評価 → 展開」の6フェーズで、必要に応じて前のフェーズに戻る反復的なモデルです。CRISP-ML(Q)は各フェーズに品質保証の観点を加え、展開後の監視・保守までをライフサイクルとして扱う機械学習向けの拡張です。
経済産業省の契約ガイドラインでは、AI開発を「アセスメント → PoC → 開発 → 追加学習」の段階に分けて進めることが推奨されています。
PoCと開発手法
AIは学習してみないと達成できる精度が分からないため、本格開発の前にPoC(概念実証)で技術的な実現可能性と効果を小規模に検証します。PoCでは精度の目標だけでなく、その精度で業務上どれだけの効果が出るかを事前に定義しておくと判断しやすくなります。要件が固まりにくいため、最初に要件を固定するウォーターフォール型より、短い反復で改善するアジャイル型が向くことが多いとされます。PoCの精度が本番で再現される保証はなく、展開後の検証も必要です。
開発・運用の技術
- Python、Jupyter Notebook: 分析・開発の標準的な言語とツール
- Docker: コンテナで実行環境を再現性高く配布
- Web API: 学習済みモデルをネットワーク経由で呼び出せる形で提供。クラウドで提供すると導入と更新が容易だが、遅延や機密データの送信が課題ならエッジAIを検討
- MLOps: 開発(Dev)と運用(Ops)を統合するDevOpsの考え方を機械学習に適用したもの。運用中のモデルはデータの分布の変化(ドリフト)で精度が劣化するため、性能のモニタリング、再学習、再デプロイのライフサイクル管理を行う
体制と連携
AIプロジェクトにはデータ収集、モデル開発、業務への組み込みなど幅広い能力が必要で、自社だけで揃えるのは困難です。大学との産学連携、他企業・他業種との連携、外部の技術やアイデアを取り込むオープン・イノベーションが選択肢になります。データサイエンティストには統計・機械学習の技術に加え、ビジネス課題を分析に落とし込む力が求められます。
試験で問われる観点
- ビジネス理解から始める、BPRとの関係
- CRISP-DMの6フェーズの順序、CRISP-ML(Q)の品質保証
- PoCの目的、アジャイルが向く理由、精度は本番で再現されるとは限らない
- MLOpsとドリフトへの対応、Web APIとエッジAIの使い分け