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ワークフロー設計 トリガーとアクション:何をきっかけに動き、何を実行するか

第4章 自動化レベルとワークフロー設計 / 節 2

シラバスのキーワード: トリガーアクションイベントトリガースケジュール実行フォーム送信WebhookAPIコールデータ抽出条件型

本文を読んだあと、覚えているか確認してください。

ワークフローは「きっかけ」と「やること」でできている

Lv.3 のワークフローは、「〇〇が起きたら、△△して、□□する」という形をしています。「〇〇が起きたら」がトリガー(処理を始めるきっかけ)、「△△して、□□する」がアクション(実際に実行される処理)です。設計はこの2つを決めることに集約されます。

トリガーの3大分類

第1章の起動タイプ(指示型・定時型・条件型)が、ワークフロー設計では具体的なトリガーの種類に細分化されます。

指示型:人の意図的な行為が合図

定時型:時計が合図

条件型:変化を検知して動く

試験のひっかけは「CRM 上で営業担当者がステージを変更したことを検知して起動する仕組み」の種別です。人が操作しているのでフォーム送信に見えますが、起点は状態の変化なのでイベントトリガーです。

アクションの3大分類

アクションは「情報を取る → 考える → 外に出す」の3段階で整理します。

分類 役割 種類
データ処理 情報を取得・変換・整理する(入力を担う) API コール(データ取得)、データ抽出・構造化(メールから注文番号を取り出す、PDF から金額を読む)、データ変換・整形(日付形式の統一、CSV から JSON)
生成・判断 AI が考えて出力する(LLM が中心) コンテンツ生成(一次返信、レポート下書き、議事録要約)、分類・振り分け(カテゴリ、優先度)、判断・条件分岐(人が対応すべきか、承認基準を満たすか)
実行・連携 結果を外に書き出し、人に引き渡す(出力を担う) API コール(データ送信。Slack 通知、CRM への登録)、ファイル操作(PDF 生成、CSV 出力、フォルダ振り分け)、Human-in-the-Loop(AI が判断できない・すべきでないケースを人に引き渡す)

API コールは「取得」と「送信」で方向が逆です。「外部サービスから顧客情報を取ってくる」はデータ処理の API コール、「取ってきたメール本文から注文番号を抜き出す」はデータ抽出、という区別が問われます。

Human-in-the-Loop をアクションとして明示的に設計することは、完全自動化を目指す場合でもガバナンス維持に欠かせません。

トリガーは技術ではなく業務から選ぶ

トリガーを選ぶとき、技術的な種類から考えるのではなく、「業務上、何をきっかけに動くべきか」を先に決めて、その要件に合うトリガーを選びます。設計の出発点は、業務フローの中から自然なきっかけを探すことです。第2章の As-Is 分析と HTA で分解した業務フローは、そのままワークフローの設計図になります。

既存システムに情報が蓄積されている環境では、再入力を求めるフォーム送信より、既存の操作を検知するイベントトリガーの方が自然に組み込めます。これは第1章の「現場に負荷をかけない設計」です。1つのトリガーに複数のアクションを連鎖させることで、人が介在しなければできなかった一連の業務が自動化され、実務では1つの業務課題に対して複数のワークフローを組み合わせます。

試験で問われる観点

この節の練習問題(4問)

答えを見る前に選んでから開いてください。同じ問題は章別演習でランダム出題されます。

  1. 問1
    営業担当者がCRM上で商談のステータスを「提案準備」に変更すると、提案書の下書き生成が自動で始まる仕組みを設計した。このトリガーの種別として最も適切なものはどれか。
    1. 1イベントトリガー。ワークフロー側がCRMの状態変化を監視し、変化を検知して起動している
    2. 2フォーム送信。担当者がステータスを変更する操作がフォームの送信にあたるため
    3. 3手動実行。担当者が意図的にステータスを変更しているので、明示的な実行指示にあたる
    4. 4スケジュール実行。CRMの更新を定期的に確認して処理するため、時計を合図に動いている
    答えと解説

    正解: 1

    イベントトリガーは、新規メール着信、ファイルアップロード、CRMのステータス変更などの出来事をワークフロー側が見張り、変化を検知して起動する条件型のトリガーです。人がステータスを変更していても、起点は状態の変化であり、AIエージェントへの直接の実行指示(手動実行)でも、入力内容を送信するフォーム送信でもありません。既存システムの操作を検知する設計は、再入力を求めるフォームより自然に業務へ組み込めます。

  2. 問2
    次の3つのワークフローに最適なトリガー種別の組み合わせとして正しいものはどれか。(ア) 毎週月曜の朝に先週の商談状況をまとめて配信する。(イ) 社員がITサポート申請フォームを送信したら、内容を分類して担当者に振り分ける。(ウ) 共有フォルダに新しい見積依頼ファイルが置かれたら、内容を読み取って案件を登録する。
    1. 1(ア) 手動実行、(イ) フォーム送信、(ウ) 閾値トリガー
    2. 2(ア) スケジュール実行、(イ) フォーム送信、(ウ) イベントトリガー
    3. 3(ア) 期限・日付ベース、(イ) イベントトリガー、(ウ) 手動実行
    4. 4(ア) スケジュール実行、(イ) イベントトリガー、(ウ) Webhook
    答えと解説

    正解: 2

    定時型のスケジュール実行は「毎週月曜の朝」のように時計を合図に動く最もシンプルなトリガーで、導入初期にまず試すべき起点です。フォーム送信は申請内容の送信を起点に後続の手動転送や手入力を丸ごと削除できます。ファイルアップロードなどの出来事をワークフロー側が監視して起動するのがイベントトリガーです。期限・日付ベースはデータ内の日付を参照する点で、Webhookは外部システムから通知が送られる点で異なります。

  3. 問3
    提案書生成ワークフローの2つの処理を、アクションの種類で判定した組み合わせとして正しいものはどれか。(ア) CRMから対象顧客の業種・規模・過去の取引情報を取得する。(イ) 取得した過去の議事録テキストから、顧客の課題と要望に該当する箇所を取り出す。
    1. 1(ア) データ変換・整形、(イ) コンテンツ生成
    2. 2(ア) APIコール(データ送信)、(イ) 分類・振り分け
    3. 3(ア) APIコール(データ取得)、(イ) データ抽出・構造化
    4. 4(ア) データ抽出・構造化、(イ) APIコール(データ取得)
    答えと解説

    正解: 3

    アクションは、情報を取得・変換・整理するデータ処理、AIが考えて出力する生成・判断、結果を外部に書き出す実行・連携の3つに大別されます。外部サービスから情報を取得する(ア)はAPIコール(データ取得)、取得済みの非構造化テキストから必要な情報を取り出す(イ)はデータ抽出・構造化で、LLMと組み合わせれば自然言語からも抽出できます。取得と抽出は別のアクションとして区別します。

  4. 問4
    イベントトリガーとWebhookの違いの説明として、最も適切なものはどれか。
    1. 1イベントトリガーは定時型、Webhookは条件型に分類され、時計を合図に動くか出来事を合図に動くかという起動のきっかけの違いによって区別される
    2. 2イベントトリガーは人間の操作を起点として起動し、Webhookはシステムの自動処理を起点として起動する点が違いであり、人が関与するかどうかで区別される
    3. 3イベントトリガーとWebhookは同じ仕組みの別名であり、使うワークフローツールによって呼び方が異なるだけで、検知の仕組みや主体に違いはない
    4. 4イベントトリガーはワークフロー側が監視対象を見張って変化を検知するのに対し、Webhookは外部システム側で出来事が起きたときに通知が送られて起動する。違いは変化を検知する主体にある
    答えと解説

    正解: 4

    どちらも変化を検知して動く条件型のトリガーですが、イベントトリガーはワークフロー側がメールの着信やCRMの更新などを監視し、Webhookは外部システム側で出来事が発生したときにワークフローへ通知が送られて起動します。違いは変化を検知する主体がどちらにあるかです。定時型か条件型かの違いでも、人間の操作かシステムの処理かの違いでもありません。